村上春樹「一人称単数」

「僕がその年老いた猿に出会ったのは、群馬県M*温泉の小さな旅館だった」 「僕」が行き当たりばったりの一人旅の途中で、やっと泊めてもらえることになったのは、その寂寥感溢れる温泉宿でした。 大学生の時、男4人で宿の予約もせずに遠方のあるイベントに…

灰谷健次郎「優しさとしての教育」

小学生の時、先生から理不尽に怒られたことがあります。 こちらの言い分は何も聞かずに一方的に怒ります。 そうなるともう黙って諦めるしかありません。 先生も人間なので仕方がないかもしれませんが・・。 「教える」「導く」「しつける」 灰谷さんはこれら…

アルテミス

月食やアルテミス計画によるロケット打ち上げなど、このところ空を見上げて宇宙に思いを馳せる機会が増えたように思います。 アポロ計画以来の月探査。ギリシャ神話にちなんで名付けられたアルテミスは、アポロと双子で月の女神なのだそうです。 気付けば11…

大下一真「鎌倉山中小庵日記」

パソコンやソフトの性能向上により、多品種少量生産に対応できるようになった分野はたくさんあるのではないでしょうか。 娘が高校の文化祭で着ていたTシャツの完成度の高さに驚かされました。 おそらくお寺に関する分野も相当変化がありそうです。 120ページ…

秘密の森の、その向こう (Petite Maman )

久しぶりに映画館で泣いてきました。 平日休みのお楽しみ。 エンドロールの後にもう少しの間、 照明を落としたままにして欲しかったくらいです。 子供っていろいろわかっている存在ですね。 まるで〈Petite Maman 〉だな、と我が子にも感じることがあります…

マエストロ

指揮者は誰とか交響曲の何番とか、全く覚える気がありません。 あの時のあれ、その時のそれ。 音楽を楽しむ時にそれ以上に何が必要なんでしょう。 とはいえ、思い出せないとSpotifyで曲を探すことができず。 そういうのが得意な夫さんに助けてもらうこともし…

ブレイディみかこ「THIS IS JAPAN」

英国で保育士をしているブレイディみかこさんが久しぶりに来日しました。 労働争議やデモを見に行き、社会をたいらにするために草の根的に活動している人々と交わり、貧困の現場や子育ての現場を確かめます。 英国と日本の違いがどんどん出てきます。 それは…

森永康平「スタグフレーションの時代」

実体経済は様々な要因が絡まり、正確に分析できるものではなさそうです。 何かの政策の実施がその目的に確実に辿り着くとも限りません。 専門家が10人いれば全員言っていることが異なることがそれを証明しています。 スタグフレーションとは「スタグネーショ…

いたずら

寒いなと感じる日が増えてきました。 実りの季節から少しずつ寒くなっていく時期がやっぱりいちばん好きです。 この季節の幸福感をたっぷり味わって過ごしたいですね。 紅葉の知らせが聞こえてくると、決まって映画「オータムインニューヨーク」のあるシーン…

「1日10分のぜいたく」

高校が遠くにあったので雪が積もる季節には電車で通っていました。 乗り換えが必要で、朝は待ちませんが、帰りは最低でも15分くらい待ち時間があります。 ちょっとした空き時間と若い胃袋にうってつけの駅そば。 安い、早い、うまい。 1日10分のぜいたくです…