私たちの間にあるものをなんとか言葉にして伝えたい。でも、言葉にすると途端に違ってしまう。ここに存在しているのは確かなのに。無言で感じるしかないのかな。そんな経験、どなたにもきっとあるのではないでしょうか。
〈人と人との間に通い合うもの、その情の色どりを情緒という〉
数学のことはちんぷんかんぷんですけれど、たまに数学者の岡先生の言葉に救われることがあります。
〈そして時も情緒、自然も情緒、自分も情緒という気がしてくる。このすべてを情緒と看做し(みなし)去るのが道元禅師の身心脱落であって、これを目標に修行せよと言っておられる。〉
〈自分とは何か、心とは何かと調べていくと、すべてがわからなくなるとともに、すべてがどうでもよくなってしまった。〉
岡潔「春宵十話」
岡潔「春風夏雨」
岡潔「情緒と日本人」
読書空間 ひつじ日和