宮本輝「田園発港行き自転車 上」

 

立山連峰から流れ出す黒部川が作り出す扇状地。
その恵みである湧水、田園。
何かを象徴するかのような小さな赤い橋。
富山県入善町の景色から物語は始まります。

 

東京の暮しに慣れない女性。
未婚の母。
富山県をサイクリングすることになった絵本作家。
海の恵み。
ゴッホ。
自転車。
京都。
ひとりになりたいときに訪れるお茶屋風バー。

 

 

ちいさな物語が交錯してゆきます。
人々はどこに辿り着くのでしょうか。

 

 

 

「ひつじ穂」という言葉を初めて知りました。
俳句の秋の季語で、イネを刈ったあとの切り株から伸びた新芽のことだそうです。
漢字は「穭穂」。
ひつじに反応してしまいました。

 

 

 

宮本輝「田園発港行き自転車 上」

 

 

どんなに親しくても、相手が人に話したがっていないであろうことには、決してこちらから水を向けてはならない。

 

野に遺賢あり、やなぁ。

 

ここには健全な明暗がないのだ。

 

 

 

読書空間 ひつじ日和