批評という言葉を辞書で引いてみました。
「よい点、悪い点などを指摘して、価値を決めること。」(岩波国語辞典第四版)
小林秀雄さんはこの本のなかでこうおっしゃっています。
「自分の仕事の具体例を顧みると、批評文としてよく書かれているものは、皆他人への賛辞であって、他人への悪口で文を成したものはない事に、はっきりと気附く。」(「批評」より)
好きなものについてはとことん考えるけれど、そうでないものには無関心なのでしょう。
そしてその知識の量からどんどん筆が進むけれど、読み手はそれに追いつかず、難解な部分もあるのではないでしょうか。
そういえば「すぐにわかるようには書いていない」というようなことをどこかでおっしゃっていました。
時を経て、難解ではあるけれどもそのレベルが変わってきたような気もします。
読者の成長さえ考えていたのかもしれません。
恐るべし。
小林秀雄「考えるヒント」
読書空間 ひつじ日和