
幼い頃のこと。幼稚園に行きたくない私に、母は好きな絵本を一冊持たせてくれました。そして、背中に手を当てさすりながら、ぐるぐるとネジを回してくれました。
大丈夫、安心して行っておいで。その気になって出掛けては、混沌とした外の世界にうんざりしたのですが、持たせてもらった本はちょっとした安心材料。これは本に関する私の原点的な記憶です。
いつも元気満々なら本はいらないかも。でも、ここは無常の世界。ふとした時にそっと慰めてくれるのは他人より、もの言わぬ本のぬくもりだったりします。
その他の娯楽で紛らわすこともありますが、低刺激の方が最終的には心地よい。私の場合は本や静かな音楽が好みです。自分を満たす時間になります。
知識を増やすために読むわけでもないし、暇な時、ただそこにあるから本を手にとる豊かさ。そういう安心を教えてくれた両親に心から感謝したいと思います。
読書空間 ひつじ日和