「我が父サリンジャー」というタイトルから、サリンジャーのことばかりを書いているかと想像しましたが、そうではありません。
有名な父を持つマーガレットさんが幼少時代からどう生きてきたかの記録です。
そこにはどうしても父親サリンジャーの存在が無視できません。
少し変わった環境で育ったためか、苦しみが大きいように感じます。
大人になればなるほど噴出し、様々な病気という形で外に出てきたりもします。
この本を書くことによって浄化をしているようです。
過去の経験と作品の登場人物を重ねながら。
サリンジャー自身も実は苦しみがありました。
ユダヤ人であること。
戦地での激しい戦闘を生き延びてしまったトラウマ。
一連の作品は近しい人々の犠牲の上に成り立っていたのかもしれません。
「真の価値を持つものは人間の頭脳に入れて持ち運べるものである。」
「勝つのは悲しすぎる、と思うこともあるのだ。」
「ほんとうの意味で尊敬する人物は死んだ人ばかりだ。」
マーガレット・A・サリンジャー「我が父サリンジャー」
読書空間 ひつじ日和
