上田義彦さんの写真集をのんびりながめていましたら、林檎の木のページで手が止まりました。山深い群馬で出会ったという林檎の木。タクシーの窓から不意にみつけ、再度出掛け夢中で撮影したとありました。
そういえば、長野で迎えた初めての秋のこと。赤く実った林檎の木をこんなに間近で見たことがなく、時間を忘れて遊んだことを思い出しました。
我が家のアルバムを開くと、林檎の木の下ではしゃぐ幼い頃の長女と同じくらい、はしゃいでしまう当時の気持ちが蘇りました。
林檎の木の写真のおかげ、にわかに親しみを感じさせていただきながらの写真集「From the Hip」
撮り続けた何十年もの歳月をずしりと感じる分厚いそれは、写真のことは全くわからない私であっても、じんわりと心に響いてきました。
〈そもそも写真は、野放図に物や形、量や時間、感情までも、そっくりとい一瞬に切り取ってしまう。〉〈一方で写真は、ものにつけられた言葉や記号をとっぱらう作業を自然にしていると思うことがある。〉
言葉から離れて、言葉にならないものを感じる。贅沢な時間を過ごせた気がします。
上田義彦「いつも世界は遠く、」
読書空間 ひつじ日和
