星野博美さんの著書「旅ごころはリュートに乗って 歌がみちびく中世巡礼」や、浜松楽器博物館で古楽器の生演奏を聴いたあたりから日常的にリュート音楽を聴くようになりました。とはいえ CARM RADIO で流すくらい。具体的に作曲家や奏者の知識はありませんでした。
最近知人から譲られた、銅版画家山本容子さんの画文集「エンジェルズ・ティアーズ」の中に小さな発見がありました。山本さんの愛する歌とそれにまつわるエッセイです。17世紀(英)のリュート作曲家で奏者のジョン・ダウランドについて知りました。
山本さんはシェイクスピアのソネットを題材に制作をした折、その時代の空気を知るためにシェイクスピアの生地であるストラットフォード・アポン・エイヴォンを訪ねました。
その地ではシェイクスピアと同時代を生きたジョン・ダウランドの音を通じ中世を感じようとしたそうです。哀歌ばかり80曲も作曲した人でエリザベス一世づきのリュート奏者になれず失意のあまり世界を旅したとありました。
調べてみるとさすがメランコリアの巨匠、聴き覚えのある曲もみつかりました。こうやって少しずつ世界が広がるのは楽しいですね。深い満足感があります。
ストラットフォード・アポン・エイヴォンには私にも思い出があります。
写真はその長旅のお供(カメラ好きな子)にほとんどを任せていました。訳あって旅の後に写真をもらう機会が無くなってしまい…。
しかし、不思議なもので写真がないことによって、かえって心の中に美しく保存されている気がします。失われたものや手に入らないものの美しさが、より感じられるようになってくる頃なのかなぁ。
魂を鎮める曲としてダウランドも紹介されていました。記憶をただ懐かしむのではなく人生の味わいに気づくために♪
リュート奏者の挿画もダウランドの響きも優雅。時間が溶けていく。「さまざまなシーンを連想できる今の生きる喜びを味わいましょう」というひと言も沁みました。
天使の涙、きっと美しいのでしょうね。
山本 容子「エンジェルズ・ティアーズ」
読書空間 ひつじ日和
