微睡

 
 
夢で思いがけない人に会いました。
あまりにもリアルな感覚。
覚醒したら途端に全て忘れてしまう。
どうか夢がこのまま続きますように。
必死にまぶたを閉じたのに、意識が戻るのが哀しかった。
 
 
 
ある明け方の出来事が「あとは切手を一枚、貼るだけ」の雰囲気とリンクしました。
 
 
 
この物語では〈ずっとまぶたを閉じ続けると決めた〉女性が登場し、男性との手紙のやりとりでストーリーが展開します。
そもそも、まぶたを閉じる理由が違います。
(私はただ眠っていたいだけでした)
彼らが存在するのはまるで別次元のようです。
 
 

 
 
 
 
チェロとチェンバロが、手紙を通して静かに語らう二人の声のように感じられ、イメージを膨らませるのを助けてくれました。
こんな風に作者である小川洋子さんと堀江敏幸さんに、私なりの方法で周波数を合わせてみました。
ほんの少しだけ二人の世界に近づけたかな。
 
 
 
実際のところ理解しきれない物語。
二人の書簡は難解な箇所も多く、タイミングによっては受け入れ難いです。
 
 
 
本当は無意味かもしれない言葉の重なりに、意味をみつけるまどろみの読書は初めての感触でした。
 
 
 
今年の4月に収録された小川さんと堀江さんの対談が巻末にあります。
コロナ以降の感覚で語られる「閉じこめられている人」「閉じこもっている人」のあたりも興味深かったです。
 
 
 
 
 
 
 
 

小川洋子・堀江敏幸「あとは切手を、一枚貼るだけ」

 
 
 
 
 
 
 
読書空間 ひつじ日和