2023-01-01から1年間の記事一覧

解放

日々の暮らしや読書で感じる心の動きを観察しながら過ごした一年が終わります。怒りやその奥の哀しみ、恐れ、欲望など。ある程度はおそうじ済みのつもりが、予測しないところからも浮かび上がってきたりして。種々の感情がみつかった先の解放感を味わいまし…

岡本太郎「芸術と青春」

岡本太郎さんがパリに住んでいた頃のことを思い出して記したもの、両親について、等、エッセイ集です。 やはり普通ではない何かを発している内容が大部分ですが、一人旅の時に孤独で寂しいと思っていたことに安堵したりもしました。 この方が5年間も軍隊生活…

ドナルド・キーン「正岡子規」

正岡子規の人生は流れ星のようです。短いけれども眩しいくらいに燃焼します。 頑固な面もありそうですが、考えをすぐに改めることのできる柔軟性もありました。 好きなことには熱中するけれども、興味が無くなるとすぐに投げ出します。(誰でもそうかもしれま…

2023年12月の予定

2023年12月の予定です。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただけますとうれしいです。) 読書空…

Merry Christmas

クリスマスにふさわしく「愛とやさしさのことば」を開いてみました。 〈 人はいつの日か 風を、波を、潮を、引力を征服したあかつきに 人間は愛を エネルギー源とするでしょう そのとき、人間はふたたび 火を発見するでしょう 〉 シャルダンという、昔の人の…

茨木のり子「倚りかからず」

愛と自由を感じる作品。茨木のり子さんが73歳で刊行しました。 何かをやる時に、できるだけ独力でやってみることは重要だと思います。倚りかからずに。そこからきっと得る物があるでしょう。もし躓いてしまってから助けを求めても遅くはありません。 「お休…

井出留美「食べ物が足りない!」

どんどん増え続ける人口。2022年に80憶人を超えました。2050年くらいには100憶人に達する予測もあります。 その時食料はいったいどうなってしまうのでしょうか。 現状では十分に足りているようですが、偏りがあり世界中の人々に行き渡っていません。 問題は…

滝沢秀一「ゴミ清掃員の日常」

ゴミを分別していると迷うことがたくさんあります。 ・プラスチック製容器包装の場合、シールはどの程度付いていても再生可能なのか。・アルミ缶のキャップはアルミとして出して良いのか。(シーリングに樹脂が使用されているため)・糸で綴じられているノー…

偏愛

(電車はシンプルな赤電がいいな) 神社の鳥居の赤、血は生命の色…と、種々の赤色について話が膨らみ「偏愛ムラタ美術館 展開編」をお客さまにすすめられました。そちらに掲載されている古墳の玄室の壁面が予想もしなかった朱色で驚きました。 ある物や人を偏…

夏目漱石「こころ」

人間はどうしても自分のことを優先したくなってしまうものです。半面、利他的に生きる気持ちよさも合わせ持っています。 頭で考えると利己的になってしまいそうです。本能は意外と利他的なのかもしれません。 進化の過程で利己的に生きることへ少し傾いてし…

夏井いつき「瓢箪から人生」

正岡子規を入口に知った夏井さん。その半生は山あり谷あり。動けば人に出会い、それが次の出会いのきっかけとなり、どんどん広がっていくパワフルな人生。 マイナスと思われることも持ち前の思考でプラスに変えてしまいます。 ライフワークでもある俳句の入…

箱舟

静かな午後だったので、世界に入り込めそうな気がして「音の箱舟 モーツァルト」という本を手に取りました。もちろん聴きながら雰囲気も高めます。 絵はロシアのドミトリー・テーレホフさん。詩は木坂涼さん。 言葉だけでは表しきれないモーツァルト。絵や詩…

なぜ、脱成長なのか

近年の激しい気象、あらゆるものが不漁となっている魚介類、食料不足への懸念、人の心を蝕む働き方。 このままの状況を続けることを良し、としている人はかなり少ないのではないでしょうか。 脱成長というと、不景気のように経済が停滞し、どんよりと暗い状…

Echoes Of Life

2023年最終月にとっておきのお楽しみ♡アリス紗良・オットさんの演奏会へ。人生の中のある場面、記憶のピースが、ショパンのプレリュードとこだまするように重なり合う。映像と一緒に楽しむピアノは、とても新鮮で没入することができました。 アリスさんはき…

森下典子「こいしいたべもの」

たべものについてのエッセイ。読んでいるとお腹が空きます。写真のような絵がそれを刺激します。 そして昔食べていたものを思い出します。 例えば、上高地ビスケット、何でもないジャガイモパン、ジャスコのイートインコーナーのたこ焼き。 上高地ビスケット…

カズオ・イシグロ「クララとお日さま」

人間の「こころ」はどこにあるのでしょうか。脳の働きの一部だと思いますが、胸部とつながっている経験もしていますし、「こころ」と心臓周辺との関連の深さを表す言葉はたくさんあります。 AIがどんどん進化していきますが、AIが「こころ」を持つことは可能…

タオ

十五年前にタオを教えてくれたムッシュ。生きていくうえで、自分自身のバランスをとるために、よりどころなるに違いない本だと感じました。 以来、加島祥造さんの著書は、たいてい置くようにしています。先日、ムッシュご来店の折、タオを実践していくと「静…

静けさ

そうしたい時には遠慮せず沈黙や孤独を選ぼうと思います。精神の独立を保てるように。 静けさへの信頼度がまた上がります。 思いもよらず可愛いサイズの本でした。静けさを愛するすべての方に。 静けさを愛することば (シリーズ・手のひらのことば) 偕成社 A…

漱石先生ぞな、もし

編集者でも作家でもあった半藤さん。義祖父は夏目漱石。 ご専門の昭和史について調べていると、必然的に夏目漱石が生きた時代に辿りつくそうです。漱石の本を読み、いろいろと調べていたら、漱石に関するちょっとしたエピソードが本になるくらいたくさん集ま…

マッティ

熱心に絵の具遊びをしていると思ったら、マッティを描いていた末っ子ちゃん。パレットをのぞいたらお見事、寒色!冬っぽく、フィンランドっぽく。 さあ、あなたはマッティと同じ要素、いくつありそうですか? hitsujibiyori.hatenablog.com マッティ、旅に出…

うさこちゃん

ごきげんでいるとごきげんなことがやってくるって本当ですね。うさこちゃんがお似合いのお客さまも♪いい11月だったな〜。 読書空間 ひつじ日和

誠実

あるところに、古い物を扱うひっそりと誰が来るのか不思議な感じの、ひつじ日和と似た雰囲気のお店がありました。長年続ける秘訣をお店の方に尋ねてみたことがあります。「いろんな日があるけれど誠実に開け続けることかな。」と教えて下さいました。 〈誠実…

2023年11月の予定

2023年11月の予定です。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただけますとうれしいです。) 読書空…

孤独を生きる

孤独に生きた人は過去にもたくさんいます。そして魅力的な人ばかりです。鴨長明、ヘンリー・デビッド・ソロー、良寛さん。現在、ポツンと一軒家に住む人や、山中でスモールハウスに住む人々もきっとそうに違いありません。 孤独な時間は、人間の心を少しだけ…

弱いつながり

社会人になりたての頃、新聞くらい読め、ニュースくらい見ろ、と盛んに言われました。当時はそういうものかと新聞にはできるだけ目を通すようにしていました。 ある時、ニュースに接しない生活をしたらどうなるのだろう、と思い、新聞もテレビも見ない時期が…

お茶ワーク(番外編)

「私なりのお茶ワーク番外編」を報告します。山肌の「茶」の文字が目印の粟ヶ岳に、友人たちとハイキングしてきました。急勾配の茶畑が登り口。日程を決めた瞬間から心が喜んでいるのがよくわかりました。カレンダーには大きくひと文字、山! まさかこのメン…

数学者列伝

古今東西の数学者の人生を、藤原正彦さんが掘り起こします。 藤原正彦さんは数学史の本を読んでも、「業績紹介に重点がおかれていて、人間象は浮かばなかった」とおっしゃいます。また伝記も「履歴書のようなものであったり、腑に落ちない憶測が多かったり」…

原田マハ「サロメ」

1890年代ロンドン。人気絶頂のオスカー・ワイルド。独特のスケッチが瞬く間に世間に知れ渡り、一気に階段を駆け上がるオーブリー・ピアズリー。(今見ても不思議な絵です)オーブリーのために行動する姉、メイベル。オスカー・ワイルドの友人アルフレッド・ダ…

香川

和三盆の小さなお菓子をいただきました。細やかできれいだな。食べられないや。きちんと並んでいる姿を忘れないように。讃岐の国に古くから伝わる技のようです。 もったいなくて食べられない〜と言いながらも、やっぱり食べる(笑) やさしい甘さが口に広がる…

夏目漱石「二百十日・野分」

定期的に読みたくなる夏目漱石。「漱石先生ぞな、もし」で読みたい気持ちが加速してしまいました。 特にこの二作品(「二百十日」「野分」)を。 夏目漱石の権力や地位に対する批判的な思想を垣間見ることのできる作品です。 「二百十日」の圭さんは言いました…