2022-01-01から1年間の記事一覧

感謝

(精霊が宿るガジュマルの木) 2022年が終わります。感想はひと言、スピード感と充足感!このままいったら一生は、きらめきくらい短く感じるのかもしれません。きっとそれは素敵なことです。 どんなことが外側で巻き起ころうとも、余分な情報に惑わされないよ…

千早茜「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」

千早茜さんは小さい頃、西洋童話にうまく馴染めなかったそうです。 闇や泥の出てくる絵本が好きだった、と。 確かに「どろんここぶた」には何か魅力がありました。 掃除機でどろんこを吸ってしまうことに驚き、悲しがるこぶたに同情し、こぶたのたくらみが上…

yomyom2022

今年も残すところあとわずか。 いろいろとありがとうございます。 この1年で読んだ本のまとめです。 キーワードはフェルメール、サリンジャー、トルストイです。 フェルメール フェルメールについての本をいくつか読みました。 福岡ハカセのフェルメール愛。…

東山魁夷「白夜の旅」

緯度の高い地域や標高の高い場所は夏がとても短いです。 太陽を惜しむように花々は一斉に咲きます。 人々も急速充電の季節です。 デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド。 昭和37年(1962年)の春から夏にかけて東山魁夷さんは旅をしました。 宿…

ホットミルクの話

ふと思いついて小鍋で牛乳を温め、少し甘くしてゆっくり飲みました。 身体がポッと温まり何か固まっていたものがほぐれて安心した気持ちになりました。 誰かがこぼすと教室中が臭い給食の牛乳のせいであまり好きではないのですが、たまに飲む温かいミルクは…

船橋伸一「夢をかなえる大学選び」

この30年で子供の数は半分以下に、そして大学は倍以上になりました。 結果的に大学進学率は上がりました。 しかしその内容はどうでしょうか。 大学を維持することだけが目的になってしまう危惧は既にあります。 人間には学ぶ喜びがあります。 偏差値が重視さ…

聖書のなかの女性たち

こちらは大事にしている母の本。本人はもう忘れてしまったでしょう。学校を休んだ日の暇つぶしに本棚にみつけたのが出会いです。それ以来、女性の哀しみを人生の中で感じるたび手に取り、遠藤周作さんの優しい語り口になぐさめてもらってきました。 こちらに…

2022年12月の予定

2022年12月の予定です。 営業日:水・木・金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ:土・日・月・火曜日 12月24日~年始まではおやすみです。 書籍目的だけのご来店も大歓迎です。 (タップorクリックで拡大します。) 読書空間 ひつじ日和

悲愴

ベートーヴェンの悲愴、チャイコフスキーの悲愴など。 いくつか同じ題名の曲がありますが、ある時お客さまがベートーヴェンの悲愴ソナタの第二楽章を弾いて下さいました。 聴いていると悲愴感を超えた先の希望や明るい光を感じます。 ピアノの音は優しく記憶…

スコット・フィッツジェラルド「夜はやさし」

数年前アメリカの大統領選挙で喧伝されていたスローガン「Make America Great Again 」。 この本の時代設定は、かつてアメリカがグレートだったであろう頃です。 大戦で疲弊したヨーロッパに比べアメリカにはまだ余力がありました。 ヨーロッパの観光地もア…

はじめまして、ルート・ブリュック

オーレリアン(蝶を愛するひと)という言葉を知ってから惹かれる蝶々のモチーフ。深い青や緑、鳥、母と子。光と陰影、時や空間、幾何学的な模様も。 この数年間に気になっていたことを一緒くたにして、ポンと一冊にして差し出していただいたような気持ちになり…

トルストイ「トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇」

「欲」は人間が生きる動機であり、喜びでもあります。 でも行き過ぎた欲=強欲はなにもかも破壊してしまいます。 資本主義経済は人間の欲をどうやって金銭化するかという仕組みです。 強欲が強欲を呼びます。 その結果一部の人たちが大部分を占有することに。…

井上靖「蒼き狼」

モンゴルについて知っていることはそれほど多くはありません。 スーホの白い馬。 幾人かの力士。 不思議な住居。 元寇。 モンゴル帝国。 モンゴル帝国への礎を築いたのがチンギスカン。 たった40年程度で広大な土地を支配することに。 何を欲しどんな幸せを…

小林英樹「フェルメールの仮面」

フェルメールの絵に惹かれた人たちがいました。 2000年代の日本。 1800年代のフランス。 二人ともフェルメールの模写をします。 光の粒を追い求めるように。 過去と未来が行き来し交錯し、次第に大きなものに巻き込まれれてしまいます・・・。 模写なのか。 …

渡邉格・麻里子「菌の声を聴け」

千葉から岡山へと移転したタルマーリ―。 数年でまた移転することになりました。 今度は鳥取県、智頭町。 天然酵母パンにこだわり続けていたらビール造りに辿り着いた菌ハンターの渡邉格さん。 科学的、理論的に追求していくと同時に、感覚も大事にしています…

我が立つそま

ひつじ日和で過ごすひと時、本との一期一会を快適に楽しんでいただけるよう心配りしていますと、この世にはさまざまな生き方があり、誰もがそれぞれの場所で輝いているように感じられてきます。 お客さまの余韻がインスピレーションを運んでくることもありま…

夜の木

やっとやっと、届きました。 はるばるインドから。 置いただけで光を放つような存在感! ご予約いただいた方々に連絡しなくちゃ。 一冊一冊を手渡しする喜びも一緒に ひつじ日和に連れてきてくれました。 www.tamura-do.com 絵本「夜の木」11刷 読書空間 ひ…

小川糸「卵を買いに」

バルト三国がソ連から独立したのは1990年~1991年。 ベルリンの壁の崩壊(1989年)から1年程度での出来事。 ソ連の解体へと続きます。 当時はなにか光がさしているようなイメージを持っていました。 2015年夏 小川糸さんはバルト三国のラトビアへ向かいます。 …

トルストイ「人はなんで生きるか」

ここのことろ「利他」のことについて考えることがあります。 とても深い言葉です。 利己と表裏一体。 利他的な行動をしようと思っても、時にはお節介になってしまう場合もあります。 トルストイも利他ということについて徹底的に考えたのではないでしょうか…

ジェーン・スー「生きるとか死ぬとか父親とか」

破天荒で我儘。 若い頃は大病の繰り返し。 自分で事業を起こし大きくもしたけれど倒産。 なぜか女性にモテる。 一時は負の感情しか無かった父親に関心が向きます。 それはもしかしたら老いのせいかもしれません。 自分の父親とはどんな人物なのか。 記憶の中…

忘れられない人

(忘れられない小道) 母が怪我でしばらく不自由な時期のこと。 美容室に行くのも億劫そうなので、髪の毛を切ってあげました。 さっぱりしたらとてもうれしそう。 最後に鏡を見ると、表情までふわっとやわらかくなって。 母の散髪をする日があるなんて、想像し…

フランク・ウイン「私はフェルメール-20世紀最大の贋作事件-」

有名な絵画はブランド品と同じです。 皆の評価が高ければ価格も名声もどんどん高くなります。 本当はその人が良いと思えば他人の評価なんで関係がありません。 SNSでの拡散もその傾向があるのではないでしょうか。 その評価にうまく乗り、自分の欲を満たそう…

藤枝静男「藤枝静男随筆集」

浜松にいると藤枝静男さんのお名前を耳にする機会があります。 そよそよと風に乗って来たように。 お医者さんであり小説家であり、とても立派そうなイメージでしたが、この本を読んで印象が変わりました。 退学、受験の失敗、浪人など、より道、まわり道の連…

後悔

たいていのことは忘れてしまう、いい加減な性能を誇る私の記憶。 例外的に深いところからじわじわと浮上してきて、この数年かけてしっかり自覚した後悔がひとつだけあります。 それは早過ぎたピアノとのお別れ。 いくらせっかちだからって、そんな早くに断捨…

マイクル・クライトン「ロスト・ワールド」

地球の長い歴史は不思議なことばかりです。 何もないところから生物が発生したり。 陸上に上がったり。 恐竜のようにとても大きくなったり。 絶滅したり。(地球上での大量絶滅は5回あったとか) 化石として残ったり。 絶滅した恐竜が目の前にいたらどうしまし…

池田まき子「クニマスは生きていた」

日本で最も深い湖、田沢湖。 気候の厳しい東北の地域でも人々がくらしていけるくらいの恵みがありました。 クニマスもその1種。 田沢湖にしか存在しないサケ科の淡水魚です。 クニマス漁ができる家は限定され、人々は湖と共存していました。 しかし昭和初期…

山姥の微笑

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29から。 タイトルをざっと見渡し最初に読んだのがこちらです。 怖そうです、ね。 怖いです、よ。 見たくないものであってもこの目で見る。 痛みをともなう作業であっても逃げない。 例えるなら心の奥底の汚泥物の除…

田口久美子「書店不屈宣言」

かなり昔のことですが、とても大きな本屋さんに入ったことがあります。 1フロアだけでもとても広いのに3階分びっしりと本がありました。 小さい本屋さんしか知らなかったのでパラレルワールドを覗いた気分でした。 日本を代表する書店、リブロやジュンク堂で…

荻上チキ「みらいめがね」

ヨシタケシンスケさんの絵があると絵本のように思ってしまいますが、9割は荻上チキさんの文章です。 様々なテーマについて書いていますが、荻上チキさんの人生を垣間見ることができます。 いじめられた経験、高校時代のこと、アルバイトのこと、母親のこと。…

アレクサ

音声認識機能にちょいと不信感ありです。我が家にAIスピーカーはまだありません。 「アレクサ、今日は何度?」「はいマイケル、二十度近くまであがってあったかい一日ですよ。」 ナイトライダーの車のロボット(キット♪)みたいな声で応える夫さん。(お若い方…