読んだ本のメモ(書棚担当)

福岡伸一「ゆく川の流れは、動的平衡」

佐鳴湖畔を歩いているとカワセミを見かけることがあります。 鴨江寺の池でもたまに遭遇します。 カワセミの漢字は「翡翠」。 宝石のヒスイ(翡翠)と同じです。 色が同じだから同じ漢字のようですが、なんと鳥の方が先のようです。 あの美しい色の鳥と同じ色だ…

金子あつし「風疹をめぐる旅~消される「子ども」・「笑われる」国~」

数年前風疹の抗体検査をしました。 小学生のとき発疹が出る病気を何回かやっています。 でも麻疹(はしか)なのか風疹なのか水疱瘡なのか認識していませんでした。 医者にも行っていないと思います。 ここ数年風疹についてのニュースを聞くようになりました。 …

飯間浩明「つまずきやすい日本語」

人はそれぞれ独自の脳内辞書を構成しています。 同じ単語を使っても微妙な違いが生まれます。 それが「つまずき」となります。 「そもそも言葉は伝わらないもの」だと。 それに世代間、地域間での差異が加わりとなおさらです。 正しい言葉もなければ、変わら…

吉田篤弘「レインコートを着た犬」

子どもたちが幼稚園に通っていた頃。 徒歩での通園だったので雨の日はレインコートを着ました。 レインコートと言わずにカッパと言っていましたが。 これらの装備は雨の日を楽しむアイテムです。 水たまりにどぼどぼと入るのは大人でも楽しいものです。 レイ…

カート・ヴォネガット「国のない男」

小学生の頃だったと思います。 原油はあと30年で尽きてしまうと、社会か何かの授業で学びました。 もし原油が無くなってしまったらいったいどうするんだろう、と不安を感じると同時に、30年後なんてまだまだ先のことで想像すらつきませんでした。 その30年は…

千早茜「西洋菓子店 プティ・フール」

小学生の頃、近所に洋菓子店ができました。 それまでケーキを売っているようなお店は見たことが無かったのでとても新鮮でしたし、わくわくもしました。 いま考えてみると売っているケーキは昭和的なオーソドックスなものばかりでした。 どっしりとしたスポン…

永井玲衣「水中の哲学者たち」

哲学、と聞くととても堅苦しく難解なものと思ってしまいます。 この本を読むと、それがすこし和らぎます。 いつも何気なく考えてることは全て哲学と言って良さそうだからです。 「小学校のときの給食の味噌汁に入っている、ちょっと煮込まれすぎてどろっとな…

岡田悠「10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい ; 部屋をめぐる空想譚」

15年くらい前によく見ていたWEBサイト、デイリーポータルZ。 愉快な気分になりますが、役に立つことはありません という、紹介の言葉そのままの、確かに人生の役に立ったことはありませんが、とても楽しい時間を過ごしました。 この本からもそんな匂いが漂っ…

吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」

今まで映画館で同じ映画を2回以上観たことはありません。 ところがオーリィさんは何度も何度も観に行きます。 5年間で25回も。 その目的は・・。 「3(トロワ)」というサンドイッチ屋さんのサンドイッチも毎日食べてしまいます。 食べるたびに美味しさが増す…

斎藤幸平「100分de名著 カール・マルクス 資本論」

先日高速道路を走っていたら、極端に遅くなったり、急にスピードを出したりする車がありました。 追い越し時にちらりと横を見ると、スマートフォンを操作しながら運転していました。 前方確認よりもスマートフォンを注視する時間の方が長いようです。 資本主…

吉田篤弘「つむじ風食堂の夜」

もし人工的に積乱雲を作り出し、雷を呼ぶことができたら、そしてその雷をつかまえ、蓄電することができたらエネルギー問題は解決します。 ノーベル賞ものの快挙でもあります。 その第一歩は人工的に雨を降らせることでしょう。 小さな商店街、路面電車、大衆…

津村記久子「この世にたやすい仕事はない」

仕事で燃えつきてしまった主人公。 退職してぶらぶらしていましたが、失業保険が終わってしまったと同時に職を探します。 偶然なのか必然なのか出会ってしまった五つの職業。 どれも異色なものばかり。 その中の一つに悪徳商法に関係するものがありました。 …

吉田篤弘「フィンガーボウルの話のつづき」

読み易い文章だけれど、その世界は他の誰とも異なっている。 しかもその世界にどっぷりと浸っていたい。 これが良い小説の条件の中に入ります。 吉田篤弘さんはまさにこの条件を満たしています。 ふわふわとした、あたたかい感じを受け続け、読み終えてしま…

チャールズ・ディケンズ「オリバー・ツイスト」

ディケンズさんの初期の作品。 おおよそ200年前のものです。 移動手段は馬車。 夜の灯りはロウソク。 お風呂に入っている様子はありません。 みなしごのオリバー・ツイストは10代前半。 いつもお腹を空かせています。 社会の底辺で生き続けるオリバー。 自分…

佐高信x魚住昭「だまされることの責任」

「だまされる」という言葉について考えてみます。 誰かを信頼していたとします。 その人に何かを一任します。 思っていた結果と違った場合、だまされた、と思うはずです。 一般的に政治や医師や先生を信頼して、いろいろとお任せします。 同じ思考を持ってい…

阿部謹也「ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界」

ハーメルンの笛吹き男のお話は、いつか覚えていないくらい小さい頃から知っています。 ドイツの都市、ハーメルンで1284年に130人の子どもたちの行方が分からなくなってしまったことは事実である可能性が高いです。 そして当時から笛吹き男と呼ばれた遍歴楽師…

森達也「いのちの食べかた」

今日食べた食品はどのようにしてここまで食卓までたどり着いたのでしょうか。 パンや麺類の小麦粉はどこかの国で育って日本に来ているはずです。 ナッツ類は想像すら難しいです。 中国産のワカメはどの海域で取れるのか。 冬にとれるキュウリやレタスはどん…

吉田篤弘「ソラシド」

「冬の音楽」から何を思い浮かべるでしょうか。 「サイモン&ガーファンクル」は冬のイメージがあります。 その音楽をどの季節にどれだけ聞いていたかが大きいかもしれません。 音楽がテーマの本です。 冬の音楽も出てきます。 少し古い音楽に詳しい人にはた…

山下清「ヨーロッパぶらりぶらり」

山下清さんのイメージはテレビドラマからの影響がかなり大きいです。 そのイメージが良い方にひっくり返る本でした。 様々なことをしっかりと理解しています。 人との接し方も丁寧です。 ただ少しだけ思考が異なります。 その少し異なった考え方がとても面白…

齋藤孝「別冊NHK100分de名著 読書の学校 齋藤孝 特別授業『銀の匙』」

何かと効率が求められる世の中。 SNS等でさらに時間の余裕が無くなっていきます。 それでも人は創作物に接する必要があるのではないでしょうか。 音楽を聞いた入り、美術館に行ったり。 とても非効率に思える読書でさえも。 この本がその理由の答えの一つだ…

千早茜「おとぎのかけら 新釈西洋童話集」

千早茜さんは小さい頃、西洋童話にうまく馴染めなかったそうです。 闇や泥の出てくる絵本が好きだった、と。 確かに「どろんここぶた」には何か魅力がありました。 掃除機でどろんこを吸ってしまうことに驚き、悲しがるこぶたに同情し、こぶたのたくらみが上…

yomyom2022

今年も残すところあとわずか。 いろいろとありがとうございます。 この1年で読んだ本のまとめです。 キーワードはフェルメール、サリンジャー、トルストイです。 フェルメール フェルメールについての本をいくつか読みました。 福岡ハカセのフェルメール愛。…

東山魁夷「白夜の旅」

緯度の高い地域や標高の高い場所は夏がとても短いです。 太陽を惜しむように花々は一斉に咲きます。 人々も急速充電の季節です。 デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド。 昭和37年(1962年)の春から夏にかけて東山魁夷さんは旅をしました。 宿…

船橋伸一「夢をかなえる大学選び」

この30年で子供の数は半分以下に、そして大学は倍以上になりました。 結果的に大学進学率は上がりました。 しかしその内容はどうでしょうか。 大学を維持することだけが目的になってしまう危惧は既にあります。 人間には学ぶ喜びがあります。 偏差値が重視さ…

スコット・フィッツジェラルド「夜はやさし」

数年前アメリカの大統領選挙で喧伝されていたスローガン「Make America Great Again 」。 この本の時代設定は、かつてアメリカがグレートだったであろう頃です。 大戦で疲弊したヨーロッパに比べアメリカにはまだ余力がありました。 ヨーロッパの観光地もア…

トルストイ「トルストイ民話集 イワンのばか 他八篇」

「欲」は人間が生きる動機であり、喜びでもあります。 でも行き過ぎた欲=強欲はなにもかも破壊してしまいます。 資本主義経済は人間の欲をどうやって金銭化するかという仕組みです。 強欲が強欲を呼びます。 その結果一部の人たちが大部分を占有することに。…

井上靖「蒼き狼」

モンゴルについて知っていることはそれほど多くはありません。 スーホの白い馬。 幾人かの力士。 不思議な住居。 元寇。 モンゴル帝国。 モンゴル帝国への礎を築いたのがチンギスカン。 たった40年程度で広大な土地を支配することに。 何を欲しどんな幸せを…

小林英樹「フェルメールの仮面」

フェルメールの絵に惹かれた人たちがいました。 2000年代の日本。 1800年代のフランス。 二人ともフェルメールの模写をします。 光の粒を追い求めるように。 過去と未来が行き来し交錯し、次第に大きなものに巻き込まれれてしまいます・・・。 模写なのか。 …

渡邉格・麻里子「菌の声を聴け」

千葉から岡山へと移転したタルマーリ―。 数年でまた移転することになりました。 今度は鳥取県、智頭町。 天然酵母パンにこだわり続けていたらビール造りに辿り着いた菌ハンターの渡邉格さん。 科学的、理論的に追求していくと同時に、感覚も大事にしています…

小川糸「卵を買いに」

バルト三国がソ連から独立したのは1990年~1991年。 ベルリンの壁の崩壊(1989年)から1年程度での出来事。 ソ連の解体へと続きます。 当時はなにか光がさしているようなイメージを持っていました。 2015年夏 小川糸さんはバルト三国のラトビアへ向かいます。 …