2014-01-01から1年間の記事一覧

yomyom2014

2014年も静かに暮れて行きます。 今年は秋も早かったのですが、冬も早くやってきた気がします。 寒い冬には読書です。 コーヒーを片手にいかがでしょうか。 今年読んだ本で、面白いと感じたものをいくつか挙げます。 あくまでも個人的なものですので、全ての…

福岡伸一「やわらかな生命」

福岡ハカセからは学ぶことがたくさんあります。 いつもありがとうございます。 この本でも、 ・ブクステフーデ ・「明日の神話」の隙間への補完 ・粘菌について ・サロス周期 ・日高敏隆さんについて 等、新発見がありました。 iPS細胞の山中さんと高橋さん…

蛭子能収「ひとりぼっちを笑うな」

蛭子さんの、強い生き方の秘訣が書いてあります。 他人のことは尊重するべきだけれど、他人の目を気にする必要はない。 その通りだと思います。 自分が生きやすくするための方法ですね。 個性の考え方は養老氏と一緒でした。 ただ、この半分の量でも、同じ内…

夏目漱石「三四郎」

前回読んだのは5年も前だったんですか。 もう少し最近のような気がしていました。 現在でも同じような作品ができそうです。 そのくらい当時としては斬新なテーマだったのではと思います。 100年も前なのに。 大学に入学する為に上京し、田舎とは違って洗練さ…

沢木耕太郎「凍」

読みながらぶるぶる震えてきます。 なぜ人間はここまでやるんでしょうか。 なぜこんなにも強くなれるんでしょうか。 ぼくは冬はこたつで寝ていたいタイプなのでやろうとは思いません。 山野井さんが、8,000m近くの山を登る実話です。 夢中で読んじゃいます。…

井上靖「石濤」

私小説みたいな短編がいくつか入っています。 しかも井上靖、晩年の作品ばかり。 成熟、という文字が似合う文章です。 石濤 という方を初めて知りました。 川に関する話題が多いです。 そこに登場する人物が哀しみを背負っています。 隠遁についての考察に納…

養老孟司「いちばん大事なこと」

あとがきにあるように、「そんなに同じ著者の本が売れるわけない。どさくさにまぎれて言いたいこと言ってしまおう」という本です。 言いたいことを言っているので、気持ちが良いです。 しかも的を射ている。 ・なにも起こらないことはすばらしい ・絶対だと…

日本文学アルバム7「夏目漱石」

古本屋で偶然出くわしました。 定価が無かったのだけれど、いくらでも良いから買おうと思ってレジに持って行きました。 300円でした。 漱石さんの一生が端的に分かります。 則天去私 明窓浄机 最後の「処女作追懐談」「文士の生活」が面白かったです。 日本…

夏目漱石「夢十夜、文鳥、永日小品」

永日小品がなんとも言えず面白かった。 エッセイのような、事実を基にした物語のような。 思わず苦笑いしてしまうものあり、しんみりするものあり。 短い文章だけに味がありますね。 ロンドン留学は本当に大変なものだったのでしょうか。 約100年前の作品で…

ジュリエット・ビノシュ/ウィリアム・ハート「カウチ・イン・ニューヨーク」

ベアトリスは素直で陽気なので、いろんな人を虜にしてしまうんですね。 いや、人だけでなく、犬も、植物も。 ある意味すごい存在です。 でもベアトリスを癒やしてくれる存在はきっとそんなにいなかったのでしょう。 パリとニューヨークの部屋を交換すること…

三島邦弘「失われた感覚を求めて」

「計画と無計画のあいだ」でミシマ社に興味を持ちました。 この本を読むきっかけにもなりました。 しかしながら、そんなに興味がわいてくる内容ではありませんでした。 城陽市に拠点を作るが、それが失敗だった、というお話です。 長野県出身者からみると、…

森鴎外「山椒大夫・高瀬舟 他四篇」

山椒大夫は大正3年に書かれたそうです。もう古典と言っても良いでしょうか。 大正3年は西暦1914年ですので、ちょうど100年前の作品です。 この本には短編が6作入っています。 100年前の生活は、想像に難いですね。 きっと今より厳しい生活をしていたんだと思…

三島邦弘「計画と無計画のあいだ」

こういう出版社を応援したいです。 熱量よりも、違う目的で売られている本が多い気がします。 かつて本屋をはじめたときの動機と少しかぶっていました。 しかも、ほぼ同じ時期なのも何かの縁です。 その時に知っていれば確実に仕入れていた本です。 取次さん…

ポール・ゴーギャン「タヒチ・ノート」

モームの「月と六ペンス」を読むと、ゴーギャンのことを知りたくなります。 これはゴーギャンのことを知ろうと思って読んだ本です。 内容は、ゴーギャンがタヒチに行って惹かれ、書いた「マオリの古代信仰」とその解説です。 「マオリの古代信仰」は、フラン…

平川克美「小商いのすすめ」

おそらく、この先経済的に成長することは無いだろう、 と皆さんなんとなく体感しているのではないでしょうか。 それはヒューマンスケールの逸脱が一つの原因である、と著者は考えます。 そして小商い的精神がヒントになるのではないかと。 実際に小商いが、…

岡倉天心著、立木智子訳「茶の本」

翻訳者、立木さんの解説が各章にあり、それが理解を深めます。 また本書の紹介は”訳者あとがき”の最後の文に尽きると思います。 「情報産業やメディアの発達により、ますます世界中に存在する文化が画一的になり、 それぞれの独自性が失われてゆくのではない…

サマセット・モーム「月と六ペンス」

2回目ですがやっぱり良い本でした。 ゴーギャンのことは知りませんが、こういう人だったんでしょうか。 他人の評価、名声、地位等全く気に掛けない生き方が羨ましいです。 最後はお祭りや打ち上げ花火のあとのように、せつなさと余韻が残ります。 ゴーギャン…

穴を埋める 雪をかく

養老先生の本を読んでいたら、 「個性を発揮しようとする前に、とにかく目の前の穴を埋めなさい。」 (間違っているかもしれません。こんなニュアンスです) と、耳が痛くなるような言葉に出会いました。 確かに、仕事をしているといろんなことがありますが、…

スコット・フィツジェラルド「ベンジャミン・バトン」

フィツジェラルドの本は「グレート ギャツビー」しか読んだことありませんでしたし、特殊だと思っていました。 短編もかなり面白いことが分かりました。 とても能力のある人だったんですね。 映画「ベンジャミン・バトン」を観なければ、この本を読もうと思…

井上明美「知らずにまちがえている敬語」

正しい敬語が身についている人は魅力的ですね。 たびたび読んで再確認しなければ。 読むたびに、なるほと、と思います。 「~のほう」はたまに使ってしまっていると思います。 「よろしかったでしょうか」は最近あまり使われなくなったでしょうか。 知らずに…

河邑厚徳「エンデの遺言」

お金は、生まれた時からそこにあるものです。 感覚では、お金からお金を生み出すことがバブル経済とその破綻の原因になっているのは感じていました。 しかし、利子が自然界では異常なことだという認識は全く持っていませんでした。 目から鱗とはこのことです…

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」

精神の年齢と、見た目の年齢が乖離していくのは、本当に辛いことだと思います。 特に精神が成熟してくる後半は。 だからベンジャミンは、あのような選択をしたのだと思いました。 そしてそれはきっと正しい選択だったに違いありません。 人生は長く生きれば…

安部司「食品の裏側」

資本主義は、食料品ができるだけ安いことを要求します。 労働力が高くなることにつながってしまうからです。 添加物は、資本主義経済の中では当然であり、避けられないものなんですね。 とは言っても、みんなが要求しなければ、減っていくこともまた資本主義…

渡邉格「田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」」

菌、パンを軸に、地域の循環型社会を実現していこうとする、パン屋さんの物語。 これからが楽しみです。 著者は、マルクスを読んで、資本主義を分かりやすく理解している。 他にもいろいろと本を読んでいますね。 それを自分なりに噛み砕き、考え、実行して…

新美南吉「新美南吉童話集」

新美南吉さんの作品は「ごん狐」くらいしか知りませんでした。 知人に勧められて読みました。 すごく良い本でした。 人間の正しさを描いていると思います。 時代が進んでいっても忘れてはいけないもの。 そういうものがこの本には詰まっていると思います。 …

小塚博「きょうから直したい言葉遣い」

読んでいて、なるほどな、と思うところと、反省する部分とありました。 特に敬語は常日頃から意識して遣わないといけません。 元々、「させていただく」を詳しく知りたくて読みました。 きれいな日本語をみんなで話したいですね。 ここ数年「小春日和」を春…

埴沙萠「足元の小宇宙」

植物は動けないのに、すごいことをしますね。 動けないから、出来るようになったのでしょうか。 そのすごい瞬間をしっかりと観察して、写真に収めます。 根気と愛が必要です。 奥様の野菜人形もすばらしいです。 足元の小宇宙 82歳の植物生態写真家が見つめ…

水村美苗「日本語が亡びるとき」

世界共通語としての英語の勢いが、インターネットの力を借りてどんどん増していく。 漢字(音読み、訓読み)、カタカナ、ひらがなと豊かな表現力を持つ日本語が、どんどん衰退している感じを受ける。 それはそもそも、読む、という機会が少ないからではないか…

さだまさし「本気で言いたいことがある」

今も続いているんでしょうか。 大晦日、NHKでさださんがおしゃべりしていました。 はがきと、さださん自身だけの番組。 おそらく予算的には非常に安いものだと思います。 それを見ていたら、ユーモアと知恵と知識が豊富な人だと思いました。 だからこの本を…

トーマス・マン「ベニスに死す」

「レパントの海戦」「地図のない道」など、ベネチアに関する本を最近読みました。 だからなのか、読みたい本の一つでした。 大筋は面白い内容です。 そんなことも時にはあるかもしれません。 死が救いになります。 細部ではとても難しい表現もあり、なかなか…