2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

人生処方詩集

タイトルに惹かれケストナー「人生処方詩集」を開きました。大正解!大笑い。そして、しんみり。序文と使用法も最高でした。 若い頃、私にとっては大変すぎると感じた仕事からテンポをゆるめて「お大事にして下さい」が挨拶がわりの仕事に変えた時、ピリピリ…

小川糸「つるかめ助産院」

ホモ・サピエンスの歴史はおおよそ30万年。その間ずっと命を繋いできました。 病院も道具も無い時代でも人々は子どもを産み、育ててきたのです。 今は医療のおかげで比較的安全に出産ができるようになりました。その代わりに何か大きなものも失ってしまって…

青木海青子「不完全な司書」

何年か前、三重県から奈良県に入ったことがあります。いくつかの深い森や山を抜け、平地には昭和が取り残されたようなドライブインがありました。秋の終わりでしたが、いつ雪が降ってもおかしくないような寒々しい空。車なのに思わず後ろを振り向いてしまう…

2024年2月の予定

2024年2月の予定です。 営業日 水、木、金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ 土、日、月、火曜日 2月9日はおやすみです。 ・静かな空間づくりにご協力ください。 ・本のみを目的としたご来店も歓迎します。 (お席をご利用の場合はお飲み物をご注文いただけますと…

黄昏

このところ〈時間〉にまつわる書籍が続いています。腕時計はしないし、我が家にひとつだけの時計は、見えにくい位置にわざと変えてしまいました。時間から自由になりたい表れかしら。 「年齢を3で割ると人生の時間がわかる」というのはこちらの本から。面白…

カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」

カズオ・イシグロ作品に共通するテーマ「記憶」。この作品もやはり記憶がキーワードの一つとなっています。 人間から記憶がなくなってしまったらどうなるのでしょうか。憎しみが消え、争いがなくなるのでしょうか。それともただただ平滑な台のようなつるつる…

縣秀彦「面白くて眠れなくなる天文学」

夕方歩いていて星を見つけるとうれしくなります。東の低い空に不気味な満月を見つけてゾッとすることも。 その向こうの宇宙は今でも膨張を続けていて、そこには考えられないくらいの銀河や星があります。 普段の生活からは途方も無さ過ぎてよくわかりません…

出張

富士山からの清き流れに目を奪われて始まった朝。思いがけず富士宮にて、初めて出張本屋さんになりました。ホールアースデイというイベントに参加させてもらったのです。 やったことのないことをやってみる面白さだけでなく、ご来場者に予想以上に多くの本に…

MY TIME

(このところ毎週こちらで美しい夕日を) 〈命とは実は時間だ〉という、どなたかの言葉が頭に残り、自分の時間=命、の使い方が益々大事だと思うようになりました。二十代のような投げやり(ヤケクソ)な時間の使い方は、幸せには程遠いあり方でした。 持ち時間…

白井健太郎「クックマートの競争戦略」

クックマートが浜松に何店舗かできました。豊橋を拠点とする食品スーパーです。 他のスーパーを利用していたので、初めて行ったのは3年ほど前。それからずっとクックマートです。 生鮮食品がおいしいことと、働いている人がたくさんいてレジ待ち時間がとても…

池上彰「おとなの教養」

知識の増え方は雪だるま式だと思います。最初はなかなか大きくなりませんが、あるポイントを超えるとどんどん膨らんでゆきます。それは人生の楽しみでもあり、豊かさにつながります。 池上さんが教養について、そして教養の一部をやさしく講義します。内容は…

ひとりの時間

ひとりの時間にぴったりの本をみつけました。きっと素敵な方はみな、こんな風にひとりの時間を大切にしているのでしょう。 難しくせず誰にでもわかる言葉で語りかけて下さるのがうれしいです。深いやさしさを感じます。 矢作先生の若々しさの秘密も、この本…

エーメ「壁抜け男」

初めて読みました。マルセル・エーメ。1900年代前半に活躍した人です。 驚き、滑稽、切なさ、など様々な要素が詰まっている、先が気になる作品ばかり。 かなり変わっているけれど貧乏人に優しい古道具屋店主。子どもの代わりに作文を書く父親。パラレルワー…

パウロ・コエーリョ「賢人の視点」

ガルシア・マルケスに続いて南米の作家パウロ・コエーリョの本です。 ご自身の「経験や、誰かから教わった話、人生という川の流れを旅するなかで考えたことなどが集められて」います。 一つ一つは1ページから長くても5ページほど。 すぐに読めるけれどそのと…

羨望

〈他者に理解されることを目的としない心の声は、散文よりも詩の形に近くなる〉という背表紙の文言に誘われて「停電の夜に」のジュンパ・ラヒリさんの本を手にとりました。 詩集?自伝?創作?母国語ではないイタリア語。ローマのアパートの古い机の奥から出…

司馬遼太郎「街道をゆく39 ニューヨーク散歩」

司馬遼太郎さんがニューヨーク行きました。出会う人、行く場所がとても魅力的に思えます。それは司馬遼太郎さんの、人を信じて良い所を見つけ出す能力、そして豊富な知識がそうさせているのではと感じます。 運転手のマクドナルド氏、案内の平川氏、ドナルド…

牟田都子「文にあたる」

何気なく読んだり見たりしている本や雑誌、新聞。多くの人が関わっていることは何となく知っていましたが、校正者という存在を知ったのはいつでしょうか。誤字、脱字を訂正するだけではなく、もっと大きな視点から文章を確認します。 牟田さんは偶然校正とい…

味噌の話

人生で初めてのことはそれがどんな些細なことでもワクワクするものですね。昨年は知り合いの先生にいろいろとお膳立てしてもらい、味噌作りをしてみました。 気軽に挑戦できる丈夫で透明な袋が入れ物でしたので、発酵していく色の様子をまじまじと観察できて…

滝沢秀一「このゴミは収集できません」

先日、静岡県三島市が粗大ごみをメルカリに出品する、というニュースを耳にしました。三島市の最終処分場はほぼ満杯で、年間約8000万円を使って県外の施設に焼却灰を搬出しているそうです。使えるものは誰かに利用してもらった方が、環境にも税金にも優しく…

フランツ・カフカ「雑種」

誰の言葉だったか忘れてしまいましたが、「カフカを読んだから小説が書けるようになった」と言っていた人がいます。(ガルシア・マルケスかも) その意味がよくわかります。100年以上前にこんなにぶっ飛んだ小説を書く人はあまりいなかったでしょう。そこま…