2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

須賀敦子「須賀敦子エッセンス2 本、そして美しいもの」

小林賢太郎さんの演ずるポツネン氏。 その内容もさることながら、名前が印象的です。 この本に登場する印象的な名前と言えば、ニッコロー・ニッコリさん。 日本ではとても愛されそうです。 「美しく整った顔だちで、いつもほほえんでいるような顔をしていた…

風景との対話

信濃追分の古本屋さん「追分コロニー」にて直感的に求めた、東山魁夷さんの「風景との対話」という随想。 信州で暮らした時期に出会った大切な一冊です。 以来〈無言の風景との対話の中に、静かに自己の存在をたしかめながらこつこつと歩いてゆくという生き…

新田次郎「孤高の人」

数年前の年末に標高2000m付近まで車で行ったことがあります。 一面の銀世界で氷点下15℃くらい。 どんなに防寒をしても30分くらいしか外に居ることができませんでした。 加藤文太郎は冬山に一人で向かいます。 どんなに孤独でも、どんなに寒くても、必ず帰っ…

内田洋子「ボローニャの吐息」

イタリアについてのエッセイはなぜか読んでしまいます。 書いている人も多いような気がします。 須賀敦子さん、塩野七生さん、有元葉子さん。 歴史と自然と芸術がほどよく混ざり合っているイメージです。 ヴェネチアなんてなぜあんな場所に?と思ってしまい…

辻山良雄「小さな声、光る棚」

より早く、より多く、より大きく、より効率良く。 ある一面においては重要かもしれませんが、そのために疲弊したり失ったりすものもあるのではないかと思います。 疲弊したとき一人でゆっくりと回復できるような場所を目指したひつじ日和。 全国的にそのよう…

ひと言ではそのニュアンスを伝えきれない、翻訳できない世界中の言葉が集められたこちらの本。 ドイツ語のページでふと浮かんだ笑顔がありました。 WALDEINSAMKEIT ヴァルトアインザームカイト わあ、何かのおまじないみたいな響き。 〈森の中でひとり自然と…

2022年4月の予定

2022年4月の予定です。営業時間:10時頃~16時頃おやすみ:土曜日・日曜日7日・木曜日29日(祝)・金曜日はおやすみです。(タップorクリックで拡大します。)ここだけ咲いていました。幹のおかげで暖かいためでしょうか、それともただの気まぐれでしょうか。…

塩野七生「生き方の演習 -若者たちへ-」

塩野七生さんが高校生に向けたメッセージ。 熱く過激に語ります。 ・クールな目配り ・母国語がきちんと話せること。外国語は道具 ・想定の種類を増やす ・好奇心を持つ ・時には傷つくことも良い ・受験勉強の放棄 ・大人との品の良い対決 ヨーロッパには「…

トマス・ハリス「羊たちの沈黙」

高校3年生の秋。 まだ土曜日は半日授業でした。 土曜日の午後、友達数人で映画館に行きました。 同時上映。 「羊たちの沈黙」と確か「ターミネーター2」。 今思えばとても濃密な4時間。 本を読んでいて、当時は何も理解できていなかった、と痛切に感じました…

「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」

2009年のこの遭難事故のニュースは耳にしていました。 ただそれほど熱心に見聞きしていませんでした。 なんとなくガイドが悪い、というような風潮だったことを覚えています。 トムラウシ山 標高2,141m。 少し前に登った車山 標高1,925m。 夏のそれほど高い山…

月夜

夜の散歩道で角を曲がってふと見上げると、まんまるのお月様がありました。 不意打ちで満月に出くわすと、いつも新鮮な気持ちになります。 高まった気分のまま、数年前のある月夜の晩の思い出話になりました。 こどもたちを預けて夫婦で出掛けた演奏会。 二…

志村ふくみ 石牟礼道子「遺言」

色、染色に関する対談と書簡集です。 「みはなだ色」がキーワード。 「みはなだ」は「水縹」と書くそうです。 臭木という木の実からでてくる色です。 水色ですが、水浅葱より少し濃く、空色よりも薄い。 志村さん 「天からおちてきた青を溜めている感じがす…

宮下奈都「神さまたちの遊ぶ庭」

小中学校併設で生徒数15名。 冬は氷点下25℃。 携帯は圏外、雪が降ると映らないテレビ。 住宅周辺をウロウロしているキタキツネ。 網戸の網目より小さい、刺されるととても痒い蚊。 そんな北海道の大自然で暮らすことになった宮下一家。 浮世離れしている夫 …

トマス・ハリス「レッド・ドラゴン」

中学生の時、学校の更衣室が燃えました。 誰かが隠れてタバコを吸っていたようです。 更衣室は校舎から離れており、そこだけが全焼しました。 刑事さんが家に来てあれこれ聞かれました。 それが今のところ人生で唯一の刑事さんとの接触です。 巧妙な手口によ…

柴崎友香「百年と一日」

小学生くらいの頃でした。 学校から帰って少し経ったくらいの時間です。 電話が鳴り、誰もいなかったので出ました。 「〇月××日に予約したいのだけれど」 「予約できるのかできないのか」 などとまくしたててきます。 ここは旅館等ではない旨を伝えると、ガ…

つるとはな

(ツルと花) 「人生の先輩の話を聞く」がテーマの雑誌「つるとはな」に、チェリスト藤原真理さんの記事をみつけました。 藤原真理さんの演奏は、前に一度浜松アクトホールで聴く機会がありました。 小柄な身体をアスリートのように鍛え全身で弾くチェロは、育…

トマス・ハリス「ハンニバル ライジング」

高校の時に映画館に観に行った「羊たちの沈黙」。 奇怪でありながらどこか魅力的な人物。 ハンニバル・レクター。 レクター博士の少年時代の物語です。 最初の舞台はバルト三国リトアニア。 穏やかな暮らしが一転します。 妹に対する愛と強靭な精神力。 10代…

社会実験室 踊り場

Art & Philosophyを中心に人文学の事業を展開する団体「社会実験室 踊り場」さん。 とっつきにくいと思われがちな人文学の専門書をより多くの人に読んでほしいという思いから、いくつか本を紹介して下さいました。 絶版の貴重な本もあるそうで。 私のように…

笑顔

かわいい本をみつけました。 様々な種類のいきものたちの笑顔の写真。 笑う瞬間を撮るのはかなり難しそうです。 好奇心から動物の専門家である獣医師さんに質問してみましたら、素敵な回答をいただきました。 〈科学的に答えると、動物の中で笑うのは人間だ…

辻村深月「図書室で暮らしたい」

ミステリーはほとんど読まないので、辻村深月さんもお名前くらいしか認識していませんでした。先日ラジオでお話をしていて、なかなか面白そうな方だなと思い読みました。 辻という字ですが、点が二つあるのが気になりました。辻󠄀で習ったので。2004年からJIS…

ポール・オースター「内面からの報告書」

小さい頃は、近くにある火山が噴火したらどうしよう、と本当に心配していました。 夜トイレに行くのもとても怖かったし、近くで強盗が発生したニュースを聞いて身震いしました。 ただの山のがけ崩れをスキー場だと思ったり(今は本当にスキー場になっていま…