2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

堀江敏幸「もののはずみ」

あとがきにもある通り、その物よりも、そこに潜んでいる物語が面白いです。 確かに、これがどうしてここにあるんだろう、というものありますよね。 ぼくは、おそらくオーストリアあたりで書かれた50年くらい前のハガキを偶然手に入れました。 誰かが誰かに書…

無伴奏チェロ組曲を求めて

ピアノ伴奏のない、純粋なチェロだけの曲。 30歳を過ぎてからこの曲を教えてもらいました。 エリック・シブリンさんの「無伴奏チェロ組曲を求めて」を読みました。 ポピュラー音楽に食傷していたシブリンさんは、 あっという間にこの曲にのめり込みます。 20…

宮本輝「避暑地の猫」

タイトルからは想像つかない物語でした。 ミステリーと分類して良いかどうか。 人間の強くて弱い部分の塊です。 登場人物一人一人を主人公にして同じ量の小説が書けそうです。 宮本氏の引き出しの多さに感心します。 軽井沢を知っているとさらに雰囲気が出る…

野口勲「タネが危ない」

普段食べている野菜たちの世界は、そんなことが日常になっていたのですね。 知らない、ということは罪深きことだと思いました。 消費者の一人として、お金を出す先をしっかり考えなければいけません。 家庭菜園は固定種でやりたいですね。 しかもタネから育…

公方俊良「道元禅師の言葉」

他人からの評価や噂話、世間にあふれる情報などに惑わされず、自分の生き方をすることの大切さが書いてあります。 しかし、頭で理解しても、実際には何かに執着しちゃいますし、他人によく思われようと考えてしまいがちです。 完璧ではなくても少しずつ近づ…

藤原真理「無伴奏チェロ組曲」

無伴奏チェロ組曲 は、どなたの演奏を聴いてもどれも良いです。 藤原真理さんの演奏は、ゆったりと、バランスが良いと思いました。 低音が際立つわけでもなく、高温がきりきりするわけでもなく。 この間、演奏されているところも見たのですが、本人も控えめ…

生島淳「気仙沼に消えた姉を追って」

あの地震では、それぞれの家族に、それぞれの物語があります。 昔を思い出し、ああすればよかった、と後悔し、それでも生活をしていかなければいけません。 一般化するのではないところに、この本の価値があると思います。 生島淳さんという方の名前も初めて…

レイチェル・カーソン「沈黙の春」

経済とか、効率とか、利益とか、そういうものを追求していくと、 どこかでバランスを崩してしまうことになります。 自然に対しても、人間の心にしても。 しかし、古い本なのによく調べてあると思いました。 まだ遺伝子学とか生物学が成熟する前の時代ですよ…

瀬尾まいこ「見えない誰かと」

瀬尾さんは、とても暖かい先生だと思います。こんな先生に教えて欲しかった。でも同じくらいの歳なので、先生になってもらえませんね。 学校を中心とした、身の回りの何でもないエピソードなんですが、 時には笑い、時にはしんみりしながら読める本です。物…

辰巳芳子「食の位置づけ」

現在の日本は手軽に食べ物を入手することが可能です。 しかし、すぐに食べられる、長持ちをする、等の長所には理由があります。 基本は地産地消、手をかけたものを選んで食べる、というようにしたいです。 ここ何年かでいろんな考えが変わったのですが、 特…

長沼毅「生命とは何だろう?」

生命についての定義、その進化の過程等を網羅的に書かれています。 ざっくりと概要を知りたい方向けです。 読みやすい文章ですし、内容も理解しやすいと思います。 具体的に何か知りたい方には物足りないかもしれません。 ぼくは目の進化について、深堀りし…

山中伸弥「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」

最近、福岡伸一氏の本をよく読み、万能細胞にも興味を持ちました。 iPS細胞とはどのようなものか、まだ理解していなかったのでこの本を読むことに。 iPS細胞がどのように作られたか、概要だけですが、理解できました。 分かりやすく書いてあるのが目的の本だ…

細川護熙「ことばを旅する」

細川氏が、その長い人生の中で出会って来たことばを、 発した偉人達のゆかりの地を訪ね、思いを馳せる本。 細川氏の価値観が見え隠れします。 そして、その価値観は人によって違うかもしれませんが、全面的に賛意を表しますし、その様に生きたいと思っていま…

滝川クリステル「生き物たちへのラブレター」

他の本を探していて、ちょうど隣にあったので手に取りました。 滝川さんが、このような活動をしていることは知りませんでした。 パーム油がどのように使われているかも。 知らないことの罪深さ。 無農薬りんごの木村さんの話も興味深かったです。 ちょっとで…

映画「四月物語」

桜がひらひらと舞い散る季節になると、岩井俊二監督の映画「四月物語」を思い出します。 好きな先輩を追いかけて、北海道から東京に出てきた女の子の、大学入学時(四月)の物語。 桜が舞い散る中、引越しをしているシーンが印象的です。 大学で、自己紹介をし…

ワンガリ・マータイ「もったいないで地球は緑になる」

こういう活動は、やる理由よりもやらない理由の方がたくさん思いつくものです。 そしてその理由から誰もが手を引いてしまいがちです。 大きなシステムからちょっかいを出されたら尚更に。 しかし、マータイさんのモチベーションには驚かされます。 木を根気…

下村尚之「アナ物語」

確かにどうやって作るんだろう、という図面はたくさんあります。 しかしほとんどの人は、こんなの作れない、で終わってしまいます。 下村氏はそこに着眼しました。 きっと何かニーズがあるはずだと。 チャレンジ精神、情熱、選択すべきこと、集中すべきこと…

福岡伸一「生命と食」

同著者による「もう牛を食べても安心か」の要約版といったところです。 これを読んで興味をもたれた方にはそちらをお勧めします。 動的平衡の考えから、人間の機械論的発想を危惧し、経済効率の追求による食に対する安全意識の低下に警鐘を鳴らす。 この本で…