2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

山姥の微笑

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29から。 タイトルをざっと見渡し最初に読んだのがこちらです。 怖そうです、ね。 怖いです、よ。 見たくないものであってもこの目で見る。 痛みをともなう作業であっても逃げない。 例えるなら心の奥底の汚泥物の除…

田口久美子「書店不屈宣言」

かなり昔のことですが、とても大きな本屋さんに入ったことがあります。 1フロアだけでもとても広いのに3階分びっしりと本がありました。 小さい本屋さんしか知らなかったのでパラレルワールドを覗いた気分でした。 日本を代表する書店、リブロやジュンク堂で…

荻上チキ「みらいめがね」

ヨシタケシンスケさんの絵があると絵本のように思ってしまいますが、9割は荻上チキさんの文章です。 様々なテーマについて書いていますが、荻上チキさんの人生を垣間見ることができます。 いじめられた経験、高校時代のこと、アルバイトのこと、母親のこと。…

アレクサ

音声認識機能にちょいと不信感ありです。我が家にAIスピーカーはまだありません。 「アレクサ、今日は何度?」「はいマイケル、二十度近くまであがってあったかい一日ですよ。」 ナイトライダーの車のロボット(キット♪)みたいな声で応える夫さん。(お若い方…

橘 玲「上級国民/下級国民」

行き過ぎた資本主義の結果でしょうか。 金銭的に豊かな人とそうでない人の差が激しくなっています。 分断の結果、上級/下級という分け方をしています。 そして自由であることが分断の谷を深めます。 さまざまな根拠から概ねその通りかもしれない、と思いまし…

マイクル・クライトン「ジュラシック・パーク」

初めて映画「ジュラシック・パーク」を観た時には、その怖さに身震いしたものです。 子どもたちが「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 」をどうしても観たい、と言い出し、1作目から映画を見直しました。 そして原作にも手を出すことに。 やはり原作の…

ハインリッヒ・シュリーマン「シュリーマン旅行記 清国・日本」

高校生の時、夏休みの課題図書でシュリーマンの「古代への情熱」を選びました。 シュリーマンの語学能力に驚きました。 いくつもの国の言葉をすぐに操れるようになってしまいます。 英語だけでも四苦八苦しているのに、どういう頭の構造なんだろう、と。 そ…

2022年11月の予定

2022年11月の予定です。 営業日:水・木・金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ:土・日・月・火曜日 書籍目的だけのご来店も大歓迎です。 (タップorクリックで拡大します。) 読書空間 ひつじ日和

待ち合わせ

ある日、友人に会いに行きました。 互いのこどもが学校に行っている短い時間。 中間地点で待ち合わせです。 おとなだけで落ち着いた気持ちで会うのはかなり久しぶりです。 この日をいったい何年待ったか。 会いたくても会えない日があることを、 いつも一緒…

モオツァルト

(「大人の時間だもう寝なさい」と子供の頃に言われた日曜洋画劇場。父が観ていたのは映画「アマデウス」 その晩に高笑いするモーツァルトと黒いマントの夢をみてしまい、しばらくは音楽室の肖像画が怖かった) モーツァルトではなくモオツァルト。な〜んか洒…

村上春樹「一人称単数」

「僕がその年老いた猿に出会ったのは、群馬県M*温泉の小さな旅館だった」 「僕」が行き当たりばったりの一人旅の途中で、やっと泊めてもらえることになったのは、その寂寥感溢れる温泉宿でした。 大学生の時、男4人で宿の予約もせずに遠方のあるイベントに…

灰谷健次郎「優しさとしての教育」

小学生の時、先生から理不尽に怒られたことがあります。 こちらの言い分は何も聞かずに一方的に怒ります。 そうなるともう黙って諦めるしかありません。 先生も人間なので仕方がないかもしれませんが・・。 「教える」「導く」「しつける」 灰谷さんはこれら…

アルテミス

月食やアルテミス計画によるロケット打ち上げなど、このところ空を見上げて宇宙に思いを馳せる機会が増えたように思います。 アポロ計画以来の月探査。ギリシャ神話にちなんで名付けられたアルテミスは、アポロと双子で月の女神なのだそうです。 気付けば11…

大下一真「鎌倉山中小庵日記」

パソコンやソフトの性能向上により、多品種少量生産に対応できるようになった分野はたくさんあるのではないでしょうか。 娘が高校の文化祭で着ていたTシャツの完成度の高さに驚かされました。 おそらくお寺に関する分野も相当変化がありそうです。 120ページ…

秘密の森の、その向こう (Petite Maman )

久しぶりに映画館で泣いてきました。 平日休みのお楽しみ。 エンドロールの後にもう少しの間、 照明を落としたままにして欲しかったくらいです。 子供っていろいろわかっている存在ですね。 まるで〈Petite Maman 〉だな、と我が子にも感じることがあります…

マエストロ

指揮者は誰とか交響曲の何番とか、全く覚える気がありません。 あの時のあれ、その時のそれ。 音楽を楽しむ時にそれ以上に何が必要なんでしょう。 とはいえ、思い出せないとSpotifyで曲を探すことができず。 そういうのが得意な夫さんに助けてもらうこともし…

ブレイディみかこ「THIS IS JAPAN」

英国で保育士をしているブレイディみかこさんが久しぶりに来日しました。 労働争議やデモを見に行き、社会をたいらにするために草の根的に活動している人々と交わり、貧困の現場や子育ての現場を確かめます。 英国と日本の違いがどんどん出てきます。 それは…

森永康平「スタグフレーションの時代」

実体経済は様々な要因が絡まり、正確に分析できるものではなさそうです。 何かの政策の実施がその目的に確実に辿り着くとも限りません。 専門家が10人いれば全員言っていることが異なることがそれを証明しています。 スタグフレーションとは「スタグネーショ…

いたずら

寒いなと感じる日が増えてきました。 実りの季節から少しずつ寒くなっていく時期がやっぱりいちばん好きです。 この季節の幸福感をたっぷり味わって過ごしたいですね。 紅葉の知らせが聞こえてくると、決まって映画「オータムインニューヨーク」のあるシーン…

「1日10分のぜいたく」

高校が遠くにあったので雪が積もる季節には電車で通っていました。 乗り換えが必要で、朝は待ちませんが、帰りは最低でも15分くらい待ち時間があります。 ちょっとした空き時間と若い胃袋にうってつけの駅そば。 安い、早い、うまい。 1日10分のぜいたくです…

毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである

手紙はおろか何も来ませんねぇ。 たまの通知は連絡網的なものばかりです。 世の中の人は何をそんなに通信することがあるのか、時々不思議になります。 勇気を出して友人にメッセージして返信があるとほっとします。 なんだか物言いが〈辛酸なめ子さん風〉に…

ヨシタケシンスケ「欲が出ました」

ヨシタケシンスケさんのイラストとエッセイ。 着眼点が魅力的です。 最後に「今までで一番明日が来てほしくなかった日ってどんな日だった?」と質問がありました。 思い浮かんだのは「たくさんの人の前で何か話さなくてはいけない時」です。 嫌な事ははやく…

宝箱

(こ、この中にはお宝が・・・) 一度ゆっくり読んでみたいと思っていた京都・大原の古民家で暮らすベニシアさんのエッセイ。 左のページに日本語、右のページに英語。 平易な言葉を用いて下さっているのでわかりやすく、調子に乗ってベニシアさん気分でこっそ…

宮本輝「水のかたち」

人間が生存可能な温度で、個体にも液体にもなり、空気中に含まれる水。 地球上の全ての生き物に必要でありながら、人間はその中では生き続けることができません。 「水のかたち」というタイトルですが、水には形がありません。 何か入れ物があればその形状に…