山姥の微笑

 
 
 
ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短編29から。
タイトルをざっと見渡し最初に読んだのがこちらです。
 
 
 
怖そうです、ね。
怖いです、よ。
 
 
 
見たくないものであってもこの目で見る。
痛みをともなう作業であっても逃げない。
例えるなら心の奥底の汚泥物の除去作業。
そんな心境になりました。
 
 
 
〈ずっと昔、初めて、人を嫌いになった少女の頃の哀しみが蘇ってきた …略… 山に棲んで人を食う山姥になるのと、山姥の心を持ちながら里に棲むのと、どちらが幸せであっただろうかと、思ったりもしたが、今となってはどちらも同じだったように思う〉
 
 
 
人生の下山道でこの女に出会ったのなら、山姥だなんて思わないでしょう。
そして今はもう、誰も山姥になったり山姥にさせてしまったりせずに済む、軽やかな価値観の時代のばずです。
 
 
 
ジェイ・ルービン「ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29」
 
 
 
 
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