2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

エドヴァルド・ムンク「愛のぬけがら」

月は人間の心に何か訴えかけるものがあるのでしょう。絵画や音楽に度々登場します。 ムンクも月を描きました。この本には「月光 サンクルーの夜」が掲載されています。窓から漏れる月光が柔らかく感じられます。ゴッホと同じタイトルの「星月夜」という作品…

セルジュ・ラトゥーシュ「脱成長」

脱成長という言葉を聞くとネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれません。不景気になったら困るという幻想のようなものがあると思います。「経済成長しなければいけない」という思想はある意味において植民地化されていると著者は述べます。そして経済…

傷を愛せるか

付箋を貼りながら読むような読み方はしたことはないですが、もしそうしたならば、付箋だらけになってしまうに違いありません。 本音で生き奥底の淀みも認めるつもりの一年という意味では、残り八ヶ月の時点でこの本に出会えたのは上出来な気がしてきます。 …

挨拶

窓を開け放つと鳥たちが絶好調な声でさえずっていて、雨上がりの雲ひとつない青空を一緒に喜びました。あまりに気分がいいので、用もないのに実家の両親にわざわざおはようの挨拶をしに行きました。来るはずのない日に娘がニコニコやって来たから両親も笑う…

ドストエフスキー「賭博者」

ギャンブルは巧妙に人の心理を突いてきます。勝てばもっとやりたくなるし、負ければそれを取り戻したくなります。脳内の神経間の情報物質ドーパミンが増えている状況のようです。SNS依存もドーパミンだとか。人類はドーパミンの虜です。 ドイツの架空都市ル…

「ゼロからわかる心理学」

人の心は複雑過ぎて、分析や統計的な考え方は困難なように思います。特に脳がどのように機能しているかはまだまだ未知に満ちています。それでも傾向的なものを整理し、何かのヒントを得ようとしているものが心理学ではないでしょうか。 興味深い内容がたくさ…

2023年4月の予定

2023年4月の予定です。 営業日:水・木・金曜日 10時頃~16時頃 おやすみ:土・日・月・火曜日 読書空間 ひつじ日和

覚悟

死の周辺についていろいろ考えていました。昔から定期的にそんな期間がある気がします。もちろん、よりよく生きるための覚悟です。若い方でも尊敬する方は皆、死の意識をどこかに保有しているように感じます。 自分のことだけなら大枠はすっきりしている方だ…

赤瀬川原平「千利休 無言の前衛」

かつて赤瀬川原平さんの本から植物ワイパーというものを教えてもらったことがあります。観察してみると至る所に存在しています。 ”トマソン”という言葉も長らく認知していましたが、赤瀬川原平さんが命名に関与していたとは。語源はある人物由来なのですが、…

伊集院静「ノボさん」

人生を太さで例えることがあります。太く短くなのか細く長くなのか。明治から昭和初期にかけて何かをなした人は太く短いことが多そうです。宮沢賢治、樋口一葉、中原中也、中島敦。そして正岡子規。産業革命、人口増の結果、結核等の疾病が蔓延します。それ…

酸欠

(素焼き) 何度見ても癒されるこの表情!ほえ〜っとひと息つきたくなる土偶ちゃん。あるイベントのお庭で出会い、ひつじ日和の店番のおともに連れて帰りました。 いくつかあるうち特に気に入ったのは、いぶし銀の色に焼けた子。作家さんによりますと、窯の中…

宮崎駿「風の谷のナウシカ」

ここ数年のマスク生活はまるで腐海で生活をしているようです。放射能汚染、激化する自然災害、次々と現れる新しい疾病は大海嘯の前触れでしょうか。それとももう始まってしまっているのでしょうか。 人間の驕りに対する警鐘とそれでも生きることの希望を描き…

早坂大輔「ぼくにはこれしかなかった。」

小さな本屋さんの魅力の一つに棚の小ささ、が挙げられると思います。限られた空間にどのような本屋を並べるか。小さければ小さいほど工夫と苦心の結果が表れます。 そしてその開業の理由も100店あれば100通りあります。運営の仕方もそうでしょう。本屋さんの…

会話

(新緑がまぶしい) 春休みの最後は長女とふたりでお茶を飲みながら他愛ない話に花が咲きました。いつのまにこんなにお姉さんになったのかと、大人同士の会話ができることが何よりうれしいです。そんな時、向かい合って座るよりも横に座る方がリラックスできる…

奥田英朗「どちらとも言えません」

この本を公共の場で読むことは避けた方が良さそうです。思わずニヤニヤしてしまい周囲から人がいなくなる可能性があります。 シニカルな奥田さんの視点が冴え渡ります。スポーツの話題なのに、政治、経済、社会問題、人類学にまで到達します。 サッカーから…

逃避

(ゲームに出てきそうなお城) 同時に3音プラス1ノイズしか出せないというファミコンのゲーム音。そのシンプルな機械音を見事に再現しているグループの演奏を聴きました。う〜ん、ノスタルジー。ゼルダの伝説のダンジョンの音なんて最高です。 とはいえ決して…

森田真生「数学する身体」

前半は数学史概要です。算術記号が出てきたのは1500年代なのですね。それまでは言葉だけで表現していたようです。その大変さは想像がつきません。今では小学校で習う2桁掛け算の筆算も昔は相当高度だったとのこと。まさに積小為大ですね。 後半はアラン・チ…

頼むから静かにしてくれ

長い長い春休みが終わりました。高校生はテスト期間だとかで2月のうちから家によく居ましたし、小中学生も昔と比べると短縮日課や休みばかりな気がします。長いのは夏休みだけではないですね。給食も学校の存在も本当にありがたいなとつくづく思います。 健…

ルトガー・ブレグマン「HumanKind 希望の歴史」

先日訪問したある企業では、もう普通であれば引退している年齢の社長さんが、まだこと細かに社員に指示を出していました。そこにはなんとなく閉塞感のようなものが漂っていました。 別のある会社では、上司が部下を信頼し、書類に押さなければならない印も勝…

日記

漱石日記を読みました。教科書に載っていた漱石先生のイメージがガラガラと音を立てて崩れていく感じが楽しかったです。 ロンドン留学日記では、到着前の船の段階から具合が悪そう。下痢の日ばかりで不憫です。神経が弱いのに、そんな時代にあんなところまで…

東山魁夷「京洛四季―東山魁夷小画集」

極めて稀なのですが目を瞠るような景色に出会うことがあります。写真に撮っても再現は不可能です。同じ場所に行っても二度と見ることは出来ません。太陽の光と人間の眼の仕組みが微妙な相乗効果を生み出したのでしょうか。 東山魁夷さんの絵を見ているとその…

ネルケ無方「なぜ日本人はご先祖様に祈るのか」

この3年間は死生観を問われるような期間でした。行動を制限される意味もそこに含まれます。死に対して恐怖を持つ人、楽観する人。多様な考えがあることについては肯定的です。世界はもっと多様性に満ちているのですから。 ドイツ人でありキリスト教にも馴染…

葉牡丹

(2月末日の葉牡丹さん この頃何の花ですかとよく聞かれました 根っこに注目) 子供の頃なぜ花壇にキャベツがあるのか不思議だった存在、葉牡丹。お正月に飾った後に長持ちし、次第に根っこが出てきて。あまりに長生きなので勢いで土に植えてみましたら(むしろ…

山本有三「心に太陽を持て」

情報技術の進歩を実感するこの20年。30年前にインターネットがこれほど身近になるとは誰が想像したでしょうか。 海外に電話ができたり、現地の情報がすぐに日本に入って来ることも当たり前になりました。なぜそんなことが可能なのでしょう。 地球上にはすご…