2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

カズオ・イシグロ「夜想曲集」

カズオ・イシグロの作品の短編は初めてだったので、あまり期待していませんでした。 だからなのか、予想に反してなかなか良かったです。 音楽をテーマにしているのも良いですね。 男女の複雑な関係もからみあっています。 それぞれ終わり方の余韻も好きです…

村上春樹「村上さんのところ」

去年、このサイトを知ったときには、もうすぐ終わりの時でした。 最近になり本が出ている事を思い出し、読みました。 「そうだ、村上さんに・・・」シリーズと同じように、読者からのいろんな質問に回答します。 相変わらず、なるほど、と思わせる回答っぷり…

宮本輝「父の目方」

一般公募により寄せられた、それぞれの父親に関するエッセイ集。 35作品あります。 どれもほろりと来ますね。 ちなみに目方とは、体重のことではなく、重い感じがすること=貫禄、威厳の方ですね。 幸田文さんの文章からだそうです。 ・人は百年 ・物事は本…

村上春樹「アンダーグラウンド」

地下鉄サリン事件のことは衝撃的に覚えています。 ちょうど九州に旅行に行く当日の朝でした。 旅行の所々で耳にしました。 阿蘇山の麓に、もう廃れてしまった宗教施設がありました。 教祖がいたであろう立派な建物と、信者が寝泊まりしていたであろう、簡素…

井上靖「おろしや国酔夢譚」

鎖国時代にも漂流して外国に行った人達はかなり居たのですね。 大黒屋光太夫が、1782年に漂流し、ロシアに行って帰ってくるまでの物語。 桂川甫周の「北槎聞略」を基本にしていることは間違いありません ただ北槎聞略は、光太夫の体験のみですが、この本は井…

村上春樹「そうだ、村上さんに聞いてみよう」

非常に示唆に富んでいる本です。 笑いもあり、真剣さもあり。 どの質問から読んでもいいし、もちろん最初から読んでも大丈夫。 暇な時にぱらぱらめくっても問題なし。 大疑問NO.251「洗面器は誰が買っているの?」で、洗面器は買い替えないのにいったい誰が…

桂川甫周「北槎聞略」

1782年に駿河湾で遭難した舟があります。 そこに乗っていたのが大黒屋光太夫。 約10年ロシアを旅し、戻ってきました。 その漂流記と、ロシアの文化について細かく記載されています。 文字、金銭、計測方法、結婚式、葬式、そしてビリヤードやチェスまで。 き…

加島祥造「求めない」

すぐに読めます。 ちょっとした空き時間でも。 今の時代は、なんだか求めることが良いことのように宣伝されていますが、 そういうものから少し遠ざかると見えてくるものがあります。 それはきっとこの本に書いてある通りです。 人間は求める存在であることを…

大崎善生「九月の四分の一」

表題作「九月の四分の一」が読みたくなりまして。 確かパリの地下鉄の名前だと思ったんですけれど。 短編が4つ入っています。 どれも40代の男性の視点です。 前回は30代で読んだはずです。 少しは理解出来たんじゃないでしょうか。 「九月の四分の一」はそう…

夏目漱石「思い出す事など」

夏目漱石が吐血をし、周囲の人が死んでしまったのでは、と思うくらいの病気をしました。 その時の様子を、あとから思い出して記述したものです。 随筆のような、日記のような、フィクションのような何とも言えない読み物です。 面白く読みました。 表現とか…

赤崎勇「青い光に魅せられて」

青色LEDの開発者であり、2014年ノーベル物理学賞を受賞された赤崎氏の語り下ろし。 信念を貫き、どんな状況に置かれても決して諦めない。 誰もが窒化ガリウムから撤退する中で、それをやり続けた信念。 そして謙虚であること。 赤崎氏のすごさが凝縮されてい…