同著者による「もう牛を食べても安心か」の要約版といったところです。
これを読んで興味をもたれた方にはそちらをお勧めします。
動的平衡の考えから、人間の機械論的発想を危惧し、経済効率の追求による食に対する安全意識の低下に警鐘を鳴らす。
この本で好きだったところは「ぼくらの身の回りは練りものだらけ」というところです。
うまい表現だと思いました。
蓮根の団子は美味しいです。
福岡伸一「生命と食」
京都吉兆 徳岡邦夫さん
「練りものというのは、料理としては本質的に「逃げ」なんですよ」
練りものは、自分で作れば、そこに何がどれくらい入っているかわかりますが、誰か他の人に作ってもらうのを任せてしまったら、そこに何がどれくらい入っていて、どのように調理されたかというプロセスが、まったく見えなくなってしまいます。
安い価格を実現するためにプロセスがブラックボックスになっていること、練りもののようなものに取り囲まれ、混ぜると言うことに対して非常に鈍感になってしまっていることは、現代の食をめぐる、大きな問題です。
わたしたちの身の回りにあるものは練りものだらけで、その中に何がいったいどれくらい入っているかは、全く分かりません。だからこそ、プロセスが見えないものを、いかに見えるものに変えていくかが非常に大事なのです。
読書空間 ひつじ日和