ホモ・サピエンスの歴史はおおよそ30万年。
その間ずっと命を繋いできました。
病院も道具も無い時代でも人々は子どもを産み、育ててきたのです。
今は医療のおかげで比較的安全に出産ができるようになりました。
その代わりに何か大きなものも失ってしまっているのかもしれません。
南の島にあるつるかめ助産院ではその何かが少しだけ残っています。
何もかもを包み込む自然とそこでのんびり暮らす人々。
問題を抱えた人々が、お互い触れ合うことで次第に変化し、固いものが溶解してゆきます。
現在地方では、子どもを産む場所がどんどん少なくなってきています。
つるかめ助産院は解決につながるヒントにもなりそうです。
「大きい木には大きな影ができるし、小さい木には小さな影しかできないの。あんなに明るくて元気だからこそ、その内面に真っ黒い影を包んでいるのかもしれない」
小川糸「つるかめ助産院」
読書空間 ひつじ日和