何年か前、三重県から奈良県に入ったことがあります。
いくつかの深い森や山を抜け、平地には昭和が取り残されたようなドライブインがありました。
秋の終わりでしたが、いつ雪が降ってもおかしくないような寒々しい空。
車なのに思わず後ろを振り向いてしまうような感覚です。
そんな深山幽谷という言葉が似あう場所、奈良県東吉野村に人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」があります。
司書の青木海青子さんは紆余曲折あってそこに辿り着きました。
図書館でありながら癒しの場所です。
そこに集う人たち同士でケアをし合う。
GDPには現れないけれど確実に人を幸せにする営み。
場所もやり方も必然的にそうなっているような気がしました。
「人文系」という言葉に何か矜持みたいなものを感じます。
最近少し思うのですが、雄大な自然がある場所の方が本と親和性が高いのかも、と。
青木海青子「不完全な司書」
読書空間 ひつじ日和