忘れられない人

 
(忘れられない小道)
 
 
母が怪我でしばらく不自由な時期のこと。
美容室に行くのも億劫そうなので、髪の毛を切ってあげました。
さっぱりしたらとてもうれしそう。
最後に鏡を見ると、表情までふわっとやわらかくなって。
母の散髪をする日があるなんて、想像したことはありませんでした。
予想以上に楽しく、こんな簡単なことで喜んでもらえてびっくり。
隣で少々さみしそうにしていたので、次は父とも約束をしました。
 
 
 
誰かの散髪というのは、美容師さんでなければハードル高めの行為です。
家族以外は親密度が増して難しそう。
 
 
 
映画「忘れられない人」に、マリサ・トメイがクリスチャン・スレーターの髪をカットするシーンがありました。
若い頃の私は、切るのも切ってもらうのも、たとえ好意的な人物だとしても、それは無理と感じながら鑑賞していました。
 
 
 
二人の間にあったのはピュアで大きな愛。
そんな気持ちをいつか持てるようになるだろうか。
 
 
 
生まれも育ちも弱者で心臓に疾患がある主人公。
純粋な彼に惹かれていく女性。
本当の優しさや強さについて考える時にふと思い出します。
 
 
 
洋画はなるべく邦題で先入観を持たないようにしています。
原題のUntamed heartの方がよさそうな気もしましたが、結果的に忘れられない映画。
 
 
 
ラストのせつない曲はNature Boy
主人公がずっと大切にしていたレコード。
アナログのいい音のせいか、自分の弱さや醜さをみつけるせいか。
浄化の涙が流れると、昨日の自分よりは少し、曇りが取れた気がします。
 
 
 

 
(映画ではNat King Coleでした
こちらは抑えがきいてる雰囲気や声が素敵です)
 
 
 
 
映画「忘れられない人」
 
 
 
 
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