古今東西の数学者の人生を、藤原正彦さんが掘り起こします。
藤原正彦さんは数学史の本を読んでも、「業績紹介に重点がおかれていて、人間象は浮かばなかった」とおっしゃいます。
また伝記も「履歴書のようなものであったり、腑に落ちない憶測が多かったり」という不満を抱えていました。
それならば自らが調べて書いてしまえ、と実行したものです。
江戸時代の日本の数学者、関孝和に興味を持ちました。
群馬県藤岡の人と知られていいるようですが、その出自は長野県佐久地方。
関は養子先の苗字で、元々は内山。
佐久市内山が原点のようです。
藤原正彦さんも内山を訪ねました。
誰も関孝和のことを知りませんでした。
藤原正彦さん自身が数学者ということもあり、わかりやすい数学的解説と、時折入り込むユーモアが魅力的でした。
ここに出てくる数学者は、その能力が突出しています。
そのためか不幸そうにも感じます。
全てのエネルギーを一瞬で放出してしまうかのように短命です。
孤独や苦悩を誰かの代わりに背負っているかのように。
登場する9名の数学者
アイザック・ニュートン
関孝和
エヴァリスト・ガロワ
ウィリアム・ハミルトン
ソーニャ・コワレフスカヤ
シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
アラン・チューリング
ヘルマン・ワイル
アンドリュー・ワイルズ
藤原 正彦「数学者列伝 天才と栄光の挫折」
読書空間 ひつじ日和