革のブックカバーで印象に残っている思い出は学生時代の通学時間です。
当時はスマートフォンはありませんし、長距離移動のおともはもっぱら本でした。
たまたま電車で居合わせた方が本屋さんの包みではなく革のブックカバーを使っていると、なんだかとても大人っぽく見えました。
その頃読んでいて影響を受けた方のエッセイにも「ずっと使っている革のブックカバーの話」が出てきて、私もいつか!と思いを募らせました。
実際に購入したのは随分後でしたが、いまだに愛用しているキャメル色のそれは、やわらかく手になじみ鞄の中にあるだけで安心のお守りみたいな存在です。
あの人は何を読んでいるのかな?
タイトルが見えないから気になります。
若い頃の憧れや学びたい気持ちは尊いです。
今思えば自分のためだけにあった時間。
一方、仕事や子育てに追われてまともに本など読めない時、そんなゆっくりした時間を少しでも持ちたいという気持ちを、そのブックカバーだけはわかっていてくれた気がします。
ひつじ日和に色とりどりのブックカバーが届き、真新しい革の匂いがしてくると、意識は軽々と私の二十数年を行き来したようです。
ずっと一緒にいられて風合いの変化も楽しめますように。
そんな思いでお店に並べています。
読書空間 ひつじ日和