「西国三十三所巡礼」の満願札所である谷汲山華厳寺は、静かな岐阜の山の中にありました。
朝早くの境内はひっそりと落ち着いて、苔むした様子は千二百年余りの歴史が迫ってくるようです。
お戒壇巡りでは真っ暗闇の中、御本尊で秘仏の十一面観世音菩薩の真下にあたる地下を、恐る恐る歩みます。
ご利益があると言われる「錠前」をしっかりと触って確かめました。
おん まかきゃろにきゃ そわか
「ドラクエの秘密の呪文のようなものだよ」と御真言を教えてもらうと、十一面観世音さまがぐっと身近に感じられありがたい限り。
サンスクリット語を訳して理解することよりも、音そのものを感じてみます。
お坊さんが楽しくわかりやすく案内して下さったおかげで、こどもたちも終始夢中に。
巡礼者ではありませんが、いきなりの三十三番目について尋ねてみますと、それもありと教えて頂きました。
古く尊いものが軽やかに次に伝わっていく、令和らしい流れを感じます。
桜や紅葉の頃はきっと華やかでしょう。
またいつかのお楽しみです。
(なぜタヌキ? "他を抜く"からだそうです。)
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