仲正昌樹「悪と全体主義」

 

人間はとても想像力が豊です。
想像力があるからこそ誰かのことを思いやることができるし、文化芸術も楽しむことができます。

 

その想像力が極端に悪い方に行ってしまうのが全体主義と呼ばれるものではないでしょうか。
閉塞感がある時代に、その原因は明確な誰かにあり、それを排除しようとします。
分断・対立を煽り、谷を深く切り裂きます。

 

社会的分断は明確にそこにあるわけではありません。

 

そして誰にでも陥ってしまう(加担してしまう)可能性があります。

 

 

ハンナ・アーレントさんはナチスドイツによる迫害を体験します。
その時の社会情勢、政治体制、人間の心理から全体主義とは何か、なぜそれが発生してしまったのかを考えます。

 

アイヒマンの裁判を傍聴し、アイヒマンの凡庸さに「悪」を見出すことが出来ませんでした。
むしろアイヒマンを「悪」とするユダヤ人社会に対し、全体主義を見出します。

 

 

善と悪は明確に区別は出来ないし、社会的分断の谷はそれほど深くないかもしれません。

 

やらなければいけないのは、谷間を埋め続けることではないでしょうか。

 

 

 

仲正昌樹「悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える」

 

 

 

 

読書空間 ひつじ日和