ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」

 
育った町にはチョコレート工場がありました。
レーマンチョコレートという名前の工場でした。
 
小学校生の時、社会科見学という名のゴールデンチケットを無理矢理持たされ、そのチョコレート工場に招待されました。
 
ウォンカさんと同じようにレーマンさんというちょっと変わった人物が工場長だったかもしれません。
 
チョコレートの魅惑に完全にやられてしまいました。
チャーリーのように最後まで冷静を保てる小学生はまずいないでしょう。
少なくともその小学校にはいませんでした。
 
浮かれすぎて暴走し、全員が途中で脱落したに違いありません。
そしてウンバ・ルンバという小さな人たちが変な歌をうたい、変な踊りをおどるのです。
秘密は暴かれてはならないからです。
 
レーマンさんの思惑通り工場の中の記憶はまったくありません。
20年経っても唯一覚えているのは麦チョコを貰ったことです。
トラック一杯分ではなく一袋でした。
麦チョコはとても美味しくやっぱり浮かれました。
 
 
 
 
 
 
今はもう、そのチョコレート工場はありません。
 
 
 
 
ロアルド・ダール「チョコレート工場の秘密」
 
 
 
 
 
 
 
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