村上春樹「雑文集」

 

先日、村上春樹氏がラジオでこうおっしゃっていました。
「コロナとの戦いは戦争のようなものだ、そういうような言い方をする政治家がいます。でもその例えは正しくないと思う。善と悪、敵と味方の対立ではなく、僕らがどれくらい知恵を絞って協力し合い助け合い、それぞれをうまく保っていけるかという試練の場です。殺しあうための力の戦いではなく、生かしあうための知恵の戦いです。敵意や憎しみはそこには不要なものです。簡単に戦争に例えて欲しくないです。」
胸が熱くなりました。
 
 
さて、この本はタイトル通り、雑文で構成されています。
様々なところに書いた文章の寄せ集めだそうです。

音楽の話題であれば聞きたくなるし、本や作者の話題であれば読みたくなります。

挨拶類は新鮮です。
特にエルサレム賞受賞挨拶は感動します。

興味を持った内容
・レッド・へリング(赤にしん)とキース・へリング
・ジャック・ロンドン「人間がどれだけ死力を尽くして何かを追求したところで、その分野で人々に認められるのは稀なことだ」
・「他人が自分の悪口を言っている時は、寝たふりをしているのが一番だ」
・フランツ・カフカ「僕らを噛んだり刺したりする本だけを、僕らは読むべきなんだ。本というのは、僕らの内なる凍った海に対する斧でなくてはならない」

イラストと解説対談は安西水丸さんと和田誠さん。
もう二度と無い、貴重なイラストであり対談です。
 
 
ラジオのつづきです。
「今、世界が必要としているのは、マスクであり、ワクチンであり、そして愛です。
マスクとワクチンが広く行き渡ったとしても、もし愛や思いやりが足りなければ、コロナの終わった後の世界はきっとぎすぎすした味気ない場所になってしまうでしょう。愛って大事です」
 
 
 
読書空間 ひつじ日和