本当は会って言葉を交わしたい者同士、もし手紙の他に手段がなかったとしたら...。
尊敬し合う二人が綴る手紙とはこんなにも美しい魂の会話になるのですね。
志村ふくみさん(染色作家、随筆家)と若松英輔さん(批評家、随筆家)による、前半が往復書簡、後半は対談、さらに「鍵の海」と題された引用文集です。
引用文集だけでもオーラを感じてしまうほど。
本当に「扉を開けるための大事な鍵」をいただいた気持ちになります。
この本に広がるのは私などにはとうていわからない深淵な芸術の世界。
それでもなんとか読み進めます。
お二人が語られる言葉ひとつひとつが心に沁み、意識を向ける先ひとつひとつが学びの糧になるのでは、と興味が尽きません。
緋とは茜で染めた黄みをおびた赤い色だそうです。
手元の「色の風景」という本によると紅(くれない)の一種「思ひの色」として紹介されていました。
暮れゆく空の茜色とも違う緋色。暁の空に探してみたくなります。
お客さまに教えていただいた若松英輔さんの本がきっかけで、また貴い本に出会ってしまいました。
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志村ふくみ、若松英輔「緋の舟」
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野呂希一「いろの風景 空と水」
読書空間 ひつじ日和