峠を歩く

 
 
 
少し汗ばみながら急な坂道を登ると見えてきたのは駿河湾。
興津側から由比に向かって薩埵峠(さったとうげ)を歩きました。
 
 
 
 
南側はどこまでも続く青い空と海。
行き交う船ものんびりと。
山側には新緑の生き生きしたエネルギー。
びわや甘夏みかんが実り、ツツジや藤の花も。
 
 
 
 
 
優雅に舞う蝶たちに「私たちはオーレリアン(蝶を愛する人)だから蝶にいっぱい会うね〜」とはしゃいでいると「アゲハの幼虫は柑橘類が好きなんだよ」と冷静なコメント。
納得しながらずんずん歩きます。
 
ずっと鳥のさえずりを聴きながら、海も山も一緒に味わえる贅沢なハイキングです。
 
 
 
 
 
田子の浦に うち出でて見れば 白妙の
富士の高嶺に 雪は降りつつ         
                 山部赤人
 
 
田子の浦は現在では富士市に属しますが、古代は今の蒲原・由比の辺りを指したようです。
 
冬の歌で季節こそ違いますが、うち出でてみたら本当に、雲の上に真白な富士がありました。
 
 
 
 
 
 
途中、幸田文さんの記念碑が…。
崩れ続ける難所を実際に歩くと、移りゆくのが自然で、だからいっそう今がありがたく感じられます。
 
 
 
 
帰りは車窓に牧之原のお茶畑をみつけ、静岡県民である喜びをかみしめつつ、峠を歩いて、心がのびやかになったのを確かに感じました。
 
 
 
 
 
読書空間 ひつじ日和