河合隼雄さんの本は、より道して迷子になったような気分になります。
読んだ直後には、理解したつもりでいます。
数日後のその本を手にとって思います。
「何が書いてあったんだっけ?」と。
とても良いことが書いてあった気がするのですが。
解説で松家仁之さんが同じような感想を述べていました。
「いつも穏やかで、決定的なことはおっしゃらない。入江に打ち寄せてはひいてゆく、ゆるやかな波のよう。ゆるやかな波であっても、ひいてゆく力はつよい。指のあいだをするりと抜けて、海へもどってゆく。その先にはおそろしいほど深い海溝が音もなくひかえているように感じられた。それでもふたたび寄せてくる浅瀬の波はぬるく、足もとをすうーと撫でてゆくだけなのだ。」
読書空間 ひつじ日和