「ポール・スミザーの気持ちがスーッとラクになる生きるヒント」
いつ開いても、気付きと恵みのある大好きな本です。
生命力と知恵にあふれる植物たちの姿から得た「生きるヒント」を、ガーデンデザイナーのポール・スミザーさんが語りかけるように教えて下さいます。
軽井沢絵本の森美術館の「ピクチャレスク・ガーデン」や、八ヶ岳山麓「萌木の村」など、スミザーさんのお庭に出掛けて実際に感じてみますと、彼の言葉の重みがいっそう増して深い感動に包まれます。
何年も何年もかけたからこその美しさ。
異国の地でひたむきに植物と向き合ってきた方の言葉。
素直にスーッと心に響きます。
どの章も学びに満ちていますが、お気に入りをひとつご紹介。
カタクリの花のところです。
山や自然に詳しい方々から幾度となく伺ってきた、春の訪れを告げるスプリング・エフェメラル(春の妖精)のお話。
咲くまでに7〜8年はかかり、早春のわずかな期間しか見られない。
あとはじっと地中深くに根を張り、眠って力を蓄えていると…。
そんなカタクリの群れは、実は静かに動いているとスミザーさん。
花のあと、親株から数センチ離れた場所に種を落とすことを積み重ね、数十年のうちには何十メートルも移動してしまうと。
まわりの人にその進歩がわからなくても、ちゃんと自分を信じてあげて。
目標が大きいほど長期戦で臨む覚悟でね。
いつでもカタクリみたいに一歩一歩。
時にせっかちになってしまう私には、ぐっとくるひと言です。
そういえば今年の春、やっとカタクリの花に出会えました。
花言葉は初恋、噂どおりの美しい紫でした。
今の時期は、森の中でじっくり力を蓄えているんだと想像したら…。
私たちの今日という日も尊くなりますね。
ポール・スミザー「ポール・スミザーの気持ちがスーッとラクになる生きるヒント」
奥山 多恵子「春の妖精たち (たくさんのふしぎ傑作集)」
読書空間 ひつじ日和