フランク・ライアン「ウイルスと共生する世界」

 
ウイルスと細菌の違いを知ったのはいつのことでしょうか。
抗生物質の効かないウイルス性の風邪をひいてしまった時は大人しく寝ていることが一番です。
そして抗ウイルス薬の有効性にも驚いたことがあります。
 
つい悪者扱いしてしまいがちなウイルス。
実は長い人類の歴史の中で共生していたことが分かってきています。
 
人の遺伝子は約30億個。
その中の約20万個くらいはウイルス由来のものです。
胎盤はウイルスのおかげで形成できました。
 
 
進化生物学者のフランク・ライアンさん。
生物多様性に欠かせない存在は、ヒトよりもウイルスであると述べます。
ヒトはむしろ熱帯雨林を破壊し、海洋資源を乱獲し、プラスチック汚染の元凶であり、生態系への自然バランスに負担をかけてばかり。
 
定期的なパンデミックはその警鐘に他ならないのではないでしょうか。
 
 
様々なウイルスについて淡々とした語り口で記述します。
必要以上に恐れを煽るでもなく、かと言って軽視するでもなく。
ウイルスの参考書みたいに手元に置いておきたい本です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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