海部陽介「日本人はどこから来たのか?」

 
自分や知人の顔についいて、縄文人系か弥生人系か、という「あそび」をしたことがあるかと思います。
性格も双方あるとしている場合もあるようです。
 
それはそれで面白いのですが、この本を読むとそれほど単純に区別できないことが分かります。
 
様々な時代・ルートから日本に人類が入って来ているからです。
 
 
人類は約5万年前にアフリカを出ました。
ある者は北へ。ある者は東へ。
徐々に世界に広がります。
時代を経てはるか遠くで再開し、また別れ、ということを繰り返していたようです。
 
日本人は思っているよりも多様なバックグラウンドを持っています。
 
 
あとがきで著者が述べています。
「人類史の中では集団の移動と混血、文化の伝播と相互作用が繰り返されているため、事実上”純粋な民族”や”純粋な文化”は存在しないということだ。」
そして調べれば調べるほど各地の人々や文化に対して敬意を抱くようになり、特定民族の優位性の主張や政治による意図的な対立を憂います。
 
 
 
5万年という途方もない時間的尺度で俯瞰すると、とても不思議で穏やかな気持ちになります。
 
 
 
 
海部陽介「日本人はどこから来たのか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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