典座

 
 
 
典座(てんぞ)とは、禅宗のお寺の食事係。
修行に励む雲水や参拝者に、きめ細やかな配慮をして精進料理を提供します。
 
 
 
料理する者の心得は、喜心(喜び感謝する心)、老心(子を思う慈しみの心、食材や物を大切に扱い動作も丁寧に)、大心(偏ったり、とらわれたりしない大きな心)なのだそうです。
 
 
 
典座という存在を知ったのは、道元禅師の生涯を描いた「禅ZEN」という映画でした。
道元に影響を与えた老典座役を笹野高史さんが好演されていました。
その時の笹野さんの目元や雰囲気が、器用で料理上手だった私の亡き祖父の面影とかぶってしまい、主役の道元さんよりも印象に残っています。
 
 
 
食べるものが人をつくっている。
それを用意する人の心のあり方がどんなに大切か。
 
 
 
家族のための朝昼晩を繰り返し用意するうち
、典座という役割の大切さや意味について、その心持ちは私たちの日々の食事であっても何ら変わらないのでは、と感じ始めました。
 
 
 
我が家でも料理は年々シンプルに。
食に対する思い込みが外れていく体験は、ゲームのように楽しく何よりラク♪
余計なことをしない方が素材を感じられて美味しい。
むしろシンプルな料理の方がいいと感じられる健やかな心身を保ちたい。
そのあたりは典座さんとも好相性な気がします。
 
 
 
あとは、いつでも「喜心・大心・老心」でいられたら最高なんですけどね〜。
 
 
 
めげそうな日には〈いつもニコニコだった私のじいじ〉みたいな、笹野高史さん風の典座さんを密かに思い浮かべ、ちょっとだけ愉快な気分にして、気持ちを切り替えさせてもらっています。
 
 
 
 
 
 
山崎 紹耕 「典座さんの健康料理」
 
 
 
 
 
読書空間 ひつじ日和