森田真生 編 岡潔「数学する人生」

 

世捨て人のような数学者、岡潔。
数学で偉大な功績を残し、文化勲章を受章した後、唐突に世の中に対し発信を始めます。

唯物主義、個人主義が行き過ぎ、生きる喜びを失おうとしている日本人に対しての警鐘でした。

本来の意味とは異なるのですが「情緒」という言葉を遣い、その大切さを訴えます。
岡潔語の「情緒」はその著作の中でも定義されることはありません。
それでもなんとなくこんなことだろうという想像は付きます。
岡潔の文章もその周辺を埋めることによって「情緒」に近づいていきます。
まるで最後に残されたジグソーパズルのピースのよう。
難解な文章が核心に近付く速度を落とします。
時間をかけて理解する意味があるのでしょう。

 

編集者は、岡潔の文章に出会い、人生の転換を経験した森田真生さん。
今の時代に岡潔をわかりやすく伝えることのできる人がいることは奇跡のようです。

 

岡潔の頭の中にはきっと宇宙が詰まっています。

 

森田真生 編 岡潔「数学する人生」

 

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