ベルンハルト・シュリンク「朗読者」

誰かために朗読をするということは、その人を愛していなければできないことです。

声を出して本を読むことはとても大変だし、

自分で活字を追うよりも長い時間が必要だから。

惜し気なく朗読に時間をささげる相手。

やっぱり愛がなければ難しいと思います。

この本ではあるハンディキャップが鍵を握ります。

最初に読んだときは、なかなかそのハンディキャップに気づきませんでした。

2回目は知っていて読んだのですが、いろんなところに伏線がありました。

朗読者、というタイトルも好きです。

ベルンハルト・シュリンク「朗読者」

彼女は自分の利益を追求したのではなく、自分にとっての真実と正義のために闘ったのだ。

何かが違う、彼女ではない、彼女のさわり方、感じ方、匂い、味、すべてが間違っていると思わずにいられなかった。そんな感覚は、いつか消えるだろうと思っていた。消えることを望んでいた。ぼくはハンナから解放されたかった。しかし、何かが違うという思いは、決して消えることがなかった。

読書空間ひつじ日和