弟子の蔫薑(えんきょう)が、30年も前の孔子との日々を思い出し、
孔子を研究する人たちと、孔子について語り合います。
論語は読んだことがありませんが、孔子という人を知るための良い入門書だと思いました。
仁とか信とかの、孔子の考え方を深めて行くのにも役立ちます。
この時代のことも詳しく知りたくなりました。
大変な時代ですし、中国の懐の深さを感じます。
井上靖さんの本はどれも面白いです。
井上靖「孔子」
-人間は嘘を言ってはいけない。これはこの地球上で生きてゆく上での、人間同士の約束である。暗々裡の約束である。人間がお互いに相手の言うことを信ずることができて、初めて社会の秩序というものは保たれてゆくのである。
-このように人が口から出す言葉と言うものは、信ずるもの、信じられるもの、でなければならない。それゆえに”人”という字と”言”と言う字が組み合わせられて”信”という字はできている。
-仁という字はにんべんに”二”を配している。人間が二人顔を合わせれば、その二人の間には、二人が互いに守らなければならぬ規約とでもいったものが生まれてくる。それが”仁”というものである。他の言葉でいうと”思いやり”、相手の立場に立って、ものを考えてやるというものである。
君子、固(もと)より窮す。小人、窮すれば、ここにみだる
-小人が窮すると、乱れてしまう。自分を取り締まることができなくなる。しかし、君子は乱れない。
近い者よろこび、遠き者来る
-近い者が喜び、懐き、その噂を聞いて、遠くの者が自然にやってくる。そのような政治ができたら、それが一番いいのではないか。
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