村上春樹「レキシントンの幽霊」

 
どれも好きですが、「沈黙」「トニー滝谷」が特に良いですね。
人間の心の奥深いところにある、澱のようなものがうまく表現されています。
何度読んでも新しい発見があります。
 
 
「沈黙」は考えさせられますね。中学生くらいから読んでおくべきかと思います。
「トニー滝谷」は映画も良かったんですが、やっぱり文字の情報には敵いませんね。
トニー滝谷さんは人格者です。
 
 
村上春樹「レキシントンの幽霊」
 
 
人は勝つこともあるし、負けることもあります。でもその深みを理解できていれば、人はたとえ負けたとしても、傷つきはしません。人はあらゆるものに勝つわけにはいかないんです。人はいつか必ず負けます。大事なのはその深みを理解することなのです。
 
 
彼は威張らなかったし、自慢もしなかった。自己弁護もしなかったし、他人の悪口も言わなかった。自分のことを喋るよりは、他人の話を聞くことの方を好んだ。
 
何より怖いのは、その恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうことです。
 
 
 
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