吉本ばなな「TUGUMI」

 
映画も何回も見て、もちろん本も何度か読みました。
懐かしいの一言に尽きます。
西伊豆という場面設定、人物の特徴あるキャラクター、ノスタルジックな内容、どれも好きです。
 

 

そういえば、これも穴を掘る本でしたね。

 

 

吉本ばなな「TUGUMI」

 

 

いい時も、悪い時も、暑くて混んでいても、真冬の星空の時も、新年を迎えて神社へ向かうときも、横を見ると海はいつも同じようにそこにあり、私が小さかろうが、大きくなろうが、となりのおばあちゃんが死のうが、医者の家に赤ん坊が生まれようが、初デートだろうが、失恋しようが、とにかくいつもしんと広く町をふちどり、きちんと満ちたり引いたりしていた。
 

 

海は、見ているものがことさらに感情を移入しなくても、きちんと何かを教えてくれるように思えた。
 

 

ひとりの人間はあらゆる段階の心を、あるゆる良きものや汚いものの混沌を抱えて、自分ひとりでその重みを支えて生きてゆくのだ。

 

 

 

 

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