「雲が私の母で風が父、川は娘です。私がいない時、人間たちは私を探しますが、多すぎると嫌われます。私はだあれ?」
 
これはトルコのなぞなぞ。
答えはもちろん雨。
 
ちょっとしたコラムや気象解説も交えつつ、昔からの雨についてのことばや方言、言い回しなどが集められたこちらの本は、まさに読む辞典です。
 
それだけで一冊できてしまうほどですから、雨にまつわる日本のことばの多さには本当におどろかされます。
 
今の時期ですと若葉雨、青葉雨の頃でしょうか。
雨音を聴きながらページをめくるのも、なかなかいいものです。
 
雨の豊かな恵みは詩歌や文学への影響だけでなく、稲作と日本人の暮らし、果ては地球の「水蒸気の大循環」へと思いが巡ります。
 
梅雨の頃にと求めたポストカードは小村雪岱の「傘」。
ひと足早くひっぱり出されてきたのは、この本のおかげ。
「愛雨」なんてことばを知ったからかもしれません。
 
ある雨の日、閉館間近の時刻。
傘たちがこちらを向いて仲良く並んでいました。
 
 
 
 
倉嶋厚「雨のことば辞典」
 
 
 
 
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