父が「坂の上の雲」をリクエストしてきました。
父と夫は漱石をよく読みます。
双方に共通する人物に俳人の正岡子規さんが存在します。
彼らの話を聞いていると子規さんはどうやら興味深い存在です。
とはいえ、「坂の上の曇」全8巻も、読む元気はありません。
そこで手っ取り早く子規の俳句そのものに触れてみることにしました。
「子規365日」では俳人である夏井いつきさんが、季節ごとに選んだ子規の句の味わい方を易しく楽しく導いて下さいます。
凄絶な闘病の末、早世したというイメージしかなかったので、あっけらかんとした愉快な雰囲気に拍子抜けしてしまいました。
そもそも俳句のこともよくわからないので、かえって純粋に楽しいと感じました。
日々感じたことを短く、しかも自在に言葉にして残せるなんて魔法のようです。
日露戦争の時代であることや病などの背景を考えると、本当は張り詰めたものがあるはずなのに…伝わるのは不思議と明るさでした。
どんな状況にあっても、向ける意識の先なのだということがここでも感じられました。
今の季節のところで気に入ったのはこの2つ。
・茶袋に新茶と書きて吊るしたり
(さっそく、新茶と書いてみようかな。)
・老鶯若時鳥今年竹
(おいうぐいすわかほととぎすことしだけって!)
さらにお気に入りを3つ並べて…。
・漱石が来て虚子が来ておおみそか
・来年はよき句つくらんとぞ思ふ
・今年はと思ふこともなきしもあらず
ドラマで演じた香川照之さんを思い出すとますます、くすっと笑い出してしまいながらの365句でした。
読書空間 ひつじ日和