タイトルから「ビニール傘なんて買ってはダメよ」とお叱りを受けるのかと思ってしまいましたが、それは大きな間違いでした。
読み始めるとすぐ馴染みのある雰囲気だと感じたのですが、それはweb連載(東京の台所シリーズ)で既に楽しませてもらっていた方の本だったからです。
東京の台所では他人の暮らしを覗いてみたい程度のはずが、いつのまにか住人の人生模様まで気になってしまうことも。
取材をした人そのものを包容してしまうようなおおらかさを感じていました。
様々な人のお宅を訪問するお仕事柄、暮らしを熟知しているに違いない。そんな大平さんご自身の日々のあれこれや試行錯誤を余すことなく教えていただける、何とも贅沢な本です。
各節の末に「物理的に何が得られるか」と「精神的に何が得られるか」がユーモラスに添えられ、予想通りのお人柄にうれしくなります。
所々に信州の匂いを感じたのですが、やはり長野のご出身。さらに親しみが持てました。
朝散歩は大いなる贅沢という大平さんの言葉に触発されたある日。
いつもの景色が朝日を浴びてきれいでした。
読書空間 ひつじ日和