予想どおり、あっという間にこどもたちに食べられてしまいました。
そして、太宰さんのことを考えて、少しだけせつなくなりました。
〈しかし、父は、大皿に盛られた桜桃を、極めてまずそうに食べては種を吐き、食べては種を吐き、食べては種を吐き、そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。〉
人は闇の中にいる時ほど、本音を言っている人の言葉を探すものだと思います。
「桜桃」は、夫婦とそのこどもについて書かれた太宰最後の短編です。
10代の頃とは全く違い、そのテーマを超えて祈る気持ちがこみあげてきました。
今を生きる誰もが、苦悩ではなく喜びを感じられる世の中でありますように。
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太宰治「桜桃」
読書空間 ひつじ日和