十三夜

 
(こちらは上弦さん)
 
 
「中秋の名月だけを愛でるのは片月見だから、後の名月にあたる十三夜のお月見をお忘れなく」と聞きました。
 
 
 
月の呼び名もいろいろ、ああややこしい。
忘れものなく季節を過ごすのは何やら大変そうですねぇ。
芋名月(先月の十五夜)栗名月(今月の十三夜)という美味しそうな呼び名なら大丈夫かしら。
食べるだけで終わってしまったりして。
 
 
 
☆2022年10月8日が十三夜、栗名月です
 
 
 
樋口一葉「十三夜」という作品があります。
明治の女性が離縁するのか、しないのか。
昔の想い人に偶然出会ったのは、もの悲しい十三夜の晩。
冒頭の片月見に触れた一文も出てきます。
 
 
 
最初は古めかしくて全く読めず現代語訳で。
ざっくり把握した後、再び文語体にチャレンジしてみると、あれ?少しは理解できるじゃない。
 
 
 
一方、同じ時代の夏目漱石は言文一致の口語体へ。
その変わり目、激動の明治を生きた女性の言葉を感じてみることはなかなか面白い経験。
一葉さんの短くともインパクトある人生模様にもにわかに惹きつけられました。 
 
 
 
〈明治の女の最下層から最上層まで知り、女たちの喜びや悲しみを描くのにこれほどよい位置につけていた作家はない〉
〈和文の消滅する寸前に、それまで現れた和文のすべてを総括するというチャンスに恵まれた〉こちらは一葉愛に溢れる井上ひさしさんの「一葉の財産」から。
 
 
 
一葉さんがもし現代にいたのなら何を感じるのだろう。
女性だけでなく今を生きる全ての人が、愛と喜びに満ちて過ごせますようにと願っているでしょう。
 
 
 
ひつじ日和では電子決済のお客さまがかなり増えました。
それでも現金支払い用のお釣りを心配する時、実はいちばん心強い存在が五千円札。
あと二年もすれば新札切替だそうですから、こうして今のうちに、樋口一葉さんの偉大さに気付けてよかったです。
 
 
 
 
樋口一葉
 
 
 
 
 
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