絵画小説という分野があるかどうかは知りませんが、この分野においては第一人者の原田マハさん。
得意なものを二つ組合わせたら最強です。
ピカソ、ゴッホ、マティス、フェルメールなどの絵が登場しますが、一番心惹かれるのは東山魁夷さんの「道」です。
レプリカしか見たことはありませんが、それでも体の内部がそわそわしているよな感じになります。
まっすぐな道なのだけれど登り切る寸前に少し曲がっているように見えます。
ありきたりですが希望とか前向きとか明るさみたいなものがあります。
あるきっかけで知り合った二人がこの絵を長い時間見入っていました。
そしてこう述べます。
「全部捨てた。そうしたら、道が見えてきた。」
人間には欲とか執着とかが少なからずあります。
でもそれを手放すと見えてくるものがあったり、楽になることがあるように思います。
絵画は過去の人々からのメッセージであり、時には救われ、癒され、時には励まされ、日常生活に戻ってゆきます。
原田マハ「常設展示室」
読書空間 ひつじ日和