正岡子規「墨汁一滴」

 

重度の結核を患っていた正岡子規。

最後の数年は立つこともままならなかったようです。

 

あとは死を待つばかりという病床の中から日記を書きました。

それでも悲観的な内容はあまりありません。

かなり長い文章も書いています。

俳句、短歌への批評もします。

ユーモアもかなりありそうです。

 

肺の中からブツブツという音がし続けることを、

これは「佛々々々」と不平を鳴らして居るのであらうか。あるいは「仏々々々」と念仏を唱えて居るのであらうか。あるいは「物々々々」と唯物説でも主張して居るのであらうか。(4月7日)

と表現しています。

 

時には夏目漱石が出てきたり、碧梧桐が出てきたり。

中村不折(画家)への大きな友情も感じます。

ヨーロッパへ勉強に旅立った友(不折)を想い書きました。

あまりあくせくと勉強をして上手になり過ぎ給ふな。

もう二度と会えないことを悟っていたのでしょう。

 

34歳とはあまりにも短か過ぎます。

 

 

 

正岡子規「墨汁一滴」

 

 

読書空間 ひつじ日和