人生のある時期、空ばかり見ていた時期があります。
そして空を全く見ていなかった時も同様にありました。
教室には窓があるので、よく空を見ていました。
雪が舞う冬。
トンボがひらひらと飛び交う秋。
夕立ちが近いことを教える高く白い雲。
毎日遅くまで働いていた時には空がある事すら忘れていたような気がします。
休憩中にふと空を見上げると、もうこんな季節なんだ、と思ったことも。
最近は空ばかり見ています。
夕暮れにキラリと光る飛行機。
毎日同じ時間に出かけて行き、帰って来るムクドリ。
この本には、空も出てきますが、床屋さんにまつわる不思議なあれこれが詰まっています。
しかもただの床屋さんではありません。
時代も国境も超越した夢のようなお話。
スマートフォンばかり見ていないで、空を見上げましょう。
吉田篤弘「空ばかり見ていた」
読書空間 ひつじ日和